大阪桐蔭高校(大阪府大阪市)のアリーナに在校生・卒業生の保護者およそ700人が集まり、入学式前日の4月3日に行なわれた不正会計問題の説明会。18時半から23時過ぎまで続いたこの説明会では、簿外資金が5億円にも及び主導したとみられる前校長の森山信一氏(74)に批判が強まる一方、擁護する保護者も登場した。孫娘が在学中という女性が最前列から発言した。
「大阪桐蔭では先生方が授業や補習を熱心に行なってくださいます。孫も喜んで登校し、素晴らしい友達に恵まれ、後光が射しているぐらいです」
発言の途中で「どうか刑事告訴はなさらないでください」と口にすると会場内からブーイングが起こった。
「(学校が用意した)サクラだろ!」
「帰れ!!」
「じゃあお前が払え!」
女性はそうした野次に全く動じることなく、「愛は地球を救うのです。愛は桐蔭を救うのです」と演説を締めくくり、会場からは失笑が漏れた。
質疑応答が進むにつれ、混沌は増していった。息子が大学の医学部に進学したという父親は「ここに来ている保護者は、何も3万、5万を返してほしくて来ているのではない。(学校の)再興を期待します」と話したが、その直後にマイクを握った男性保護者が、「私はその3万、5万を返してもらうためにここに来ました」と訴える。
ある父親はアリーナに掲げられた校歌を指さし、こう話した。
「前校長は中学の校歌を作詞されている。今後刑事告訴されるような方の校歌を歌わなきゃならんのはどうなんやろか」
説明会には、翌日に入学式を控えた新入生の保護者も多数来場していた。そのうちの1人が問うた。
「事件を受けて、たとえば指定校推薦の取り消しなど、在校生に対する影響はありませんか」
寺川氏の回答は「ほぼほぼないと思います」という頼りないものだった。
終盤には出席していた在校生が挙手し、「今回の事件を機に、これまで認めてもらえなかった生徒会を作ってほしい」と願い出る場面や、保護者の一人が桐友会(大阪桐蔭の保護者会)の資金管理も不明朗だと、保護者側に座っていた桐友会会長に迫る“場外乱闘”まで起きた。
※週刊ポスト2015年4月24日号