文部科学省が4月6日、来年4月から使われる中学校教科書の検定結果を公表すると、さっそく韓国が噛みついてきた。
韓国外交省は、竹島が日本領であるとの記述を非難する声明を発表。教育省も慰安婦問題や竹島の記述を批判し、「今後は歴史や独島(竹島の韓国名)に関する教育を強化する」との方針を示した。相変わらず判で押したような反応である。
今年は日韓基本条約の締結(1965年6月22日)による国交回復から50周年となる節目の年だが、対日批判の声はやみそうにない。
なにしろ、朴槿恵大統領の名誉を毀損したとして起訴された産経新聞ソウル支局長の出国禁止措置は8か月経過した今もまだ解かれず、誕生から2年が経過した朴政権は反日政策が人気取りの頼みの綱だ。
一時は20%台に下落した朴政権の支持率は3月5日、ソウルでリッパート駐韓国米大使が政治団体代表の男に刃物で襲われて重傷を負った事件を境に30%台に回復した。米韓関係悪化を懸念した保守派が朴政権支持に転じたとみられるが、依然として低支持率であることに変わりはない。
産経新聞ソウル駐在特別記者兼論説委員の黒田勝弘氏は、支持率低迷は当然だという。
「朴大統領は今のところ大統領として何も成果を挙げていないし、今後も期待できない状況にある。本人は『経済の再跳躍』といっていますが、低成長時代に入った韓国経済が大きく飛躍する兆しはありません」
韓国経済の失速は明らかで、国内総生産(GDP)に占める輸出の割合が極めて大きい中で3月の輸出額は前年同月比でマイナス4.2%と大幅に減少した。
反日だけでは支持率維持が難しくなってきた中で出てきたのが、韓国の“もうひとつのお家芸”である前政権の糾弾だ。
韓国の検察当局は、李明博・前大統領が掲げた「資源外交」の看板の下での融資に不正があり、最大で約60兆ウォン(約6兆6000億円)もの税金が消える可能性があるとして関連企業への捜査に着手した。融資金の横領疑惑も噴出し、李氏の周囲にも飛び火するとみられている。現地紙記者がいう。
「資源外交関連捜査は、MB(李氏の略称)の責任追及のためのものだ。その検察の後ろには前政権と違ってクリーンであることをアピールしたい青瓦台(大統領府)の意図があると考えられる。この国の検察は、任期の終わりが近づくまでは積極的に政権に協力する。そうしたやり方を繰り返してきた」
李氏は任期の最後の年にあたる2012年に韓国大統領として初めて竹島に上陸し、反日宣伝で低迷した支持率を回復させた。今日に至る日韓関係悪化の引き金を引いた人物といっていい。その李氏が、反日路線を引き継いだ朴大統領の人気取りのために標的にされたのだから皮肉な構図である。
※週刊ポスト2015年4月24日号