NHKの内部では、こんな話が噴出している。
「籾井(勝人・会長)体制になってから視聴者からの抗議が殺到し、それが収まったと思ったら局内では安倍政権寄りの幹部が重用され、籾井会長に批判的なキャスターや記者は遠ざけられている。
職員の間では籾井会長が居座れば受信料契約の解除や不払いなどの動きが広がり、経営の根幹にかかわりかねないという不安が高まっている」(報道局職員)
そうした内部からの告発で発覚したのが、籾井氏が私用のゴルフのために利用したハイヤー代金をNHKに立て替えさせていた公私混同疑惑だ。
この問題は内部告発を機にNHK監査委員会が調査に動き、籾井氏が指摘されるまで代金を支払っていなかったことで火だるまになりつつある。
籾井氏は周囲に政権との親密さを喧伝しているが、官邸は、籾井氏にほとほと困り果てているというのが実際だ。
「最近も『河野談話は政府方針ではない』と勝手に言ったりしており冷や冷やする。新たな問題が出たらもたないだろう。
菅官房長官らは籾井氏の暴走に頭を抱えており、すでに官邸では籾井辞任という事態に備えて官房長官を中心に後任人事が検討され、安倍政権に近いNHKプロパーの理事などの名前があがっている」(官邸筋)
政権の味方を気取ったはずが、政権から一番のリスク材料と見なされているとは、なんたる皮肉だろう。
※SAPIO2015年5月号