蒼井そらをはじめ、中国では日本人AV女優の人気がすさまじい。そうした人気の裏で、中国政府による「日本人AV女優狩り」ともいえる規制が始まっている。中国での販売を担当する日本のアダルトグッズメーカー社員は、中国当局の動きに異変が生じていると証言する。
「数か月前からAV女優が出演するイベントに対して、相次いで出演禁止や自粛要請が出されている」
イベント出演で人気を拡大させてきた蒼井そらも、当局の規制とは無縁ではなかった。
「2008年の四川大地震の際に募金を呼びかけて若者たちの心を掴んだ彼女は、2010年に上海で開催されたオンラインゲームのイベントに出演すると会場に入りきらないほどのファンが集まり、大々的に報道されました」
その人気ぶりを見て当局はすぐに動いた。芸能を管轄する文化部は「青少年対象のゲームの宣伝に日本のアダルト分野に従事する者を使うのは好ましくない」と打ち出し、その年のゲームイベントではAV女優の起用が見送られた。
2012年には広電総局がテレビ番組の過度な娯楽化と低俗化に歯止めをかける方針を打ち出し、AV女優のテレビ出演が禁止された。蒼井だけを対象にしたものではなかったが、ギャラが1ステージ100万元(当時のレートで約1280万円)といわれた彼女を意識した通達であることは明らかだ。
ジャーナリストの富坂聰氏によれば、「そうした取り締まり自体は珍しいことではない」という。
「中国では毎年のように政府主導で風紀引き締めキャンペーンが行なわれ、民間も空気を読んですぐに自主規制するが、時間が経つと風紀は緩んで元に戻ります。その繰り返しです」
だが、2012年11月に習近平が中国のトップに就任して以降、“イタチごっこ”に異変が起こる。上海在住ジャーナリストがいう。
「2013年3月の全人代で風俗取り締まり強化が発表され、中国の映画制作会社はAV女優の起用を自粛することになりました。現在も正式な解除は行なわれておらず、どの会社も女優の起用を控える状態が続いています」
※週刊ポスト2015年4月24日号