ゴルフは飛距離を競うスポーツではないが、飛ばないと面白くないのもこれまた事実だ。それゆえ、飛ばなくなるとゴルフがつまらなくなって辞めてしまうゴルファーが少なからずおり、ゴルフ界では「2015年問題」と呼ばれている。
今年、団塊世代がいよいよ70代にさしかかり、年齢による体力低下でプレーの回数が減少。ゴルフ人口が急減すると見込まれたことから、業界としてはシニアゴルファーの“引退”を少しでも先延ばしする必要が出てきた。その救世主が「かつての飛距離をもう一度呼び戻す」高反発ドライバーだ。高反発ドライバーの最新モデルを発売し続けている『カタナゴルフ』の担当者はこう語る。
「弊社の販売実績は非公開ですが、全出荷量中、ルール適合と高反発の割合は3対7で高反発の方が断然多い。ここ1~2年はさらに高反発のニーズが高まっています」
高反発ドライバーがシニアに向く理由は、その構造にある。メーカーのクラブテスターとして知られるゴルフクラブアナリストの吉村忠義氏によれば、高反発の恩恵を享受できるのは、ハードヒッターよりもむしろヘッドスピード38m/s以下、「200ヤードのラインを超えなくなった人」だという。
気になる飛距離の伸びについて、吉村氏の試打によれば「1割増」。クラブメーカーの担当者によれば、規制開始当時の高反発クラブに比べて、最近の高反発はさらに性能がアップしているという。
「クラブを替えるだけで飛距離は1割アップ、リシャフト(シャフト交換)することでさらに5ヤード伸び、ボールも飛びに特化した適合外品にすることで15ヤードプラス。計算上はしめて30~40ヤードは伸ばせる」(吉村氏)
※週刊ポスト2015年4月24日号