自民党の中川郁子・農水政務官の「路チュー不倫」スキャンダルの際、中川更迭に傾く官邸の思惑に一泡吹かせたとされるのが二階俊博総務会長だった。
中川氏が辞任するかどうかは、世耕弘成・官房副長官の将来にとって大きな意味を持っていた。現在世耕氏は、官邸で菅義偉・官房長官とともに実権を握り、存在感を増している。安倍側近議員が語る。
「参院の和歌山選出で当選4回の世耕さんがさらに上を目指すには衆院への鞍替えが必要で本人もそれを意識している。路チュー相手の門博文・代議士は和歌山1区で落選して比例で復活。仮に中川氏が農水政務官を辞任し2人の連帯責任となれば、世耕さんには次の総選挙で衆院和歌山1区に鞍替えするチャンスがあった」
安倍晋三首相も「彼女の言い訳が見苦しく更迭に傾いていた」(同前)とされる。
それを阻止したのが二階氏である。同じ和歌山選出の世耕氏とは年の差があるものの長年ライバル関係にあり、門氏と中川氏は二階派所属だ。
「二階さんは水面下で中川さんに辞任を思いとどまらせ、安倍総理に掛け合って更迭を防いだ」(二階派議員)
派閥領袖として官邸の安倍側近の思惑をはねのけ、子分たちを守ったのだ。それは二階氏が今も大きな力を持っていることを示すとともに、安倍氏もそれを無視できないという意外な力関係を見せつけた。
※週刊ポスト2015年5月1日号