大阪市を解体し、5つの特別区に再編することを柱とする「大阪都構想」の住民投票(4月27日告示、5月17日投開票)まで約1か月となった。
橋下徹・大阪市長率いる大阪維新の会は、前哨戦と位置づけた府議選・市議選直前の“浪速のエリカ様”こと上西小百合衆議院議員のスキャンダル炸烈で思わぬ苦戦を強いられた。
今後、都構想をめぐり、維新VS自公他会派の熾烈な争いは連日激しさを増していくものとみられるが、戦いがヒートアップすれば、当然取り沙汰されるのが“第2の上西爆弾”だ。
「今年から維新幹部が子飼いの新聞記者に情報をリークし、都構想に反対する自民党議員の政治資金規正法違反に関する記事が複数掲載された。そういう攻撃は要警戒だ」(自民府連関係者)
自民党側も“仕返し”を警戒するが、弱点をより多く抱えているのは維新側のようだ。ある維新の市議が明かす。
「特に我々が恐れているのは、昨年、維新を離党した女性市議の存在。当時から、造反した理由は党内部でのセクハラ問題という噂が流れており、住民投票直前のタイミングで何らかの暴露があるかもしれない。
昨年の都議会では塩村文夏都議に野次を飛ばした議員が大批判を浴びた。疑惑が本当で公になれば維新のダメージは大きい」(なお、当該の女性市議は離党理由を「政策の違い」とのみ説明)
これまで「負ければ市長を辞める」と繰り返してきた橋下氏。住民投票に勝った場合には大阪都構想実現に向けて、今年11月の市長選出馬や、来年の参院選での国政転身が取り沙汰されているが、負ければ求心力を失って政界引退が現実味を帯びる。
正念場に立たされた橋下氏を尻目に、上西議員は維新を除名されて「年収アップ」も期待できるというから皮肉なものだ。
議員給与や経費の他に、無所属の上西議員が他の無所属議員と会派を組めば、これまで維新に支払われていた月額65万円の立法事務費が新会派を通して支給されるからだ。
“浪速のエリカ様”が高みの見物を決め込む「大阪春の陣」はさらにヒートアップしていく。
※週刊ポスト2015年5月1日号