戦後70年を踏まえ、安倍晋三首相が今夏に発表する談話の検討が始まり、各国が動向を注視している。現在、日本と韓国とは「従軍慰安婦」や「竹島」などでもめているが、このうち従軍慰安婦についてはどのように触れれば良いのか? 大前研一氏が解説する。
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従軍慰安婦問題に関しては、韓国の要人たちから「今や80歳以上の高齢になった彼女たちが存命の間に謝罪してさえもらえばいい」という本音を聞いたことがある。金銭的な補償は韓国政府が十分に行っているので、もう要求していないそうだ。
日本では「強制連行はなかった」とか「どこの国でもやっていた」といった反論をする人たちがいるわけだが、彼女たちにとって「強制か否か」などは、あまり関係がない。そういう環境に追い込んだことについて、日本にひと言、謝ってほしい、それで韓国人は納得するというのである。
したがって安倍談話では「従軍慰安婦の皆さんの不幸な体験と心の傷に対し、日本国民を代表して深く反省し心から謝罪します」と述べるべきであり、そうすればこの問題は終息する。
※SAPIO2015年5月号