世界中どこを見ても、日本ほど女性の「豊かな胸」を愛でる言葉を次々に創り出し、慈しんできた国はないだろう。評論家・ライターの藤木TDC氏はいう。
「1960年代以前は、大きな胸は『ミルクタンク』などと呼ばれてネガティブなイメージがあり、“小さいほうが慎ましく好ましい”という雰囲気があった。ところが、大橋巨泉や月亭可朝によって『ボイン』という言葉が生み出されると、カジュアルな親しみやすさが一気に広がり、胸の大きさを話題にしやすくなりました」
革命的だったのは1980年代後半に出現した「巨乳」という言葉だ。堀江しのぶや細川ふみえといった巨乳タレントが活躍した。
「この頃から、『男性は大きい胸が好き』ということを女性たちがはっきり自覚し始めた。“寄せて上げて”時代の始まりです。それを象徴するギャグがパイレーツの『だっちゅーの』でした」(同前)
その後も、「微乳」「美乳」「ワカパイ」「スイカップ」「スライム乳」など、数え切れないほどの「おっぱい語」が造られてきた。世界に類を見ない日本人のおっぱいへの探究心のたまものだろう。
※週刊ポスト2015年5月1日号