週に3回の透析治療を受けているお笑い芸人・グレート義太夫氏(56)は、日本の医学会が推奨する糖尿病の治療法、「摂取カロリーの半分を炭水化物で摂る食事療法」が時代遅れで効果がないと指摘されていることを昨今の報道により知り、怒りがこみ上げてきたという。
「僕が糖尿病だっていわれたのは35歳の頃です。今から20年くらい前ですが、その頃にはこんな話聞いたことなかったですからね。とにかくカロリーを抑えなさいって指導でした。学会のガイドライン通り、一日のカロリーの半分くらいは炭水化物で摂って、あとはバランスよく腹八分目ということでした。糖質制限のほうがいい結果になるなんて初めて知りましたよ」
同氏は笑いのために体を張ってきたことが、糖尿病につながったと苦笑する。
「若い時は中ジョッキ一杯分のガムシロップやハチミツの一気飲み競争で笑いを取っていました。糖尿病にもなりますよ。たけし軍団の連中も最初はお見舞いだとかいってわざとホールケーキをプレゼントしてくるジョークで僕をいじめていて、透析を始めてからようやく気を遣ってくれるようになりました。
でも殿(ビートたけし)だけは別。あの人はとことん笑いを追求していて、僕が透析を始めたことを報告したら、『じゃあ今日からお前の芸名は夏目透析だ』っていいましたから。さすがに丁重にお断わりしましたけど(笑い)」
病院では摂取カロリーを制限するため、食べる量を全体的に減らす指導がなされた。
「これが辛い。お腹が減ったらついつい食べちゃうから僕みたいなだらしない人間は長続きしません。糖質制限であれば、もちろん節度は必要でしょうけど、糖質さえ気にすればある程度は空腹を我慢しなくてよかったわけでしょう。悔やまれますよ。
番組収録が深夜に終わって仲間と焼肉屋に繰り出す時も、『カロリーを抑える』ということが頭にありましたからまずご飯でお腹をいっぱいにして、それから肉に箸を伸ばしていたんです。やるべきことの正反対をやっていた」
カロリー制限生活が辛くて病院に足が向かなくなり、中途半端な状態で治療を放り出した。そして、今では週3回の透析が欠かせない体になってしまった。
「糖質制限を知っていれば透析をもう少し遅らせることができたかもしれません。そう考えると学会の食事療法を恨んじゃいますよ」
※週刊ポスト2015年5月1日号