安全面の観点から子供にボール遊びを禁じている公園が増えてきた。さらに、「大声禁止」など子供たちの遊び場としての公園が様変わりしている。子供にとって代わり公園の活用者となっているのがシニア世代だ。
もちろん、公園は子供たちだけのものではない。シニア世代がいつまでも元気でいるために公園を活用するのは決して非難されることではない。しかし、この子供とシニア世代の“公園の奪い合い”では首をかしげたくなるような事態が起きているのだ。愛知県の主婦、武田真美子さん(仮名・42才)は「釈然としない思いを抱えている」と言う。
「半年ほど前に、自治会から近所の公園でのボール遊びは禁止するようお達しがでました。小学校2年生の息子とは『残念だけど仕方ないね』と話していたんですが、その数日後、平日の昼間に公園の前を通るとお年寄りがゲートボールをしているんです。
自治会の役員さんに問い合わせたところ『実はボール遊びを禁止したのは、ボールで遊ぶ子供の声がうるさいと近隣から苦情があったからなんです。子供だけ禁止するわけにいかないので一律にボール遊びを禁止にしました。でも、お年寄りはうるさくないからいいんです』と。その公園ではゲートボール大会も開かれています。確かに子供は声が大きいけれど、納得いかない気持ちでいっぱいです」
そうした結果、子供たちの遊び場はどんどんなくなっていく。そればかりか、「外遊びをしなくなることで運動ができない子が増えている」と指摘するのは「スポーツひろば」運営責任者の西薗一也さんだ。
「文科省が半世紀にわたって調査している体力テストのデータによると、この50年間でソフトボール投げの距離は約6mも縮んでいます。また、外で遊べなくなった子供たちは体を動かすことに慣れていないので転んだりすることがうまくできずにちょっとしたことで大けがや大事故につながってしまうことがあるのです。
さらに、できる子とできない子の差がどんどん広がり二極化が進んでいます。スポーツを習っている子は頑張ってサッカーや水泳などに取り組むからすごく上達するんですけど、習っていない子はまったくできなくなる」
※女性セブン2015年5月7日号