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日本の社長概念が変化 学閥拘らぬ実力主義が大企業にも浸透

 日本における「社長」の概念が大きく変わりつつある。それを象徴しているのが、三井物産の人事だろう。4月1日付で社長となった安永竜夫氏(54)は、執行役員から「32人抜き」の大抜 。年功序列の「出世すごろく」が長く定着していた大企業にも、新たな風が吹き始めていることを印象づけた。

 富士通の田中達也・社長(58)、デンソーの有馬浩二・社長はそれぞれ「14人抜き」。ホンダの八郷隆弘常務執行役員(55)は、9人の取締役を飛び越えて6月に社長就任予定だ。岡山商科大学経営学部長の長田貴仁教授が指摘する。

「八郷氏は四輪車体の設計出身で、武蔵工業大学(現・東京都市大学)出身。たたき上げの抜擢は、学歴のなかった創業者・本田宗一郎氏のホンダイズムへの回帰を思わせる」

 それ以外にも、旧来の学閥人事を覆す動きが各社で見られる。

「2013年に就任した東芝の田中久雄・社長は神戸商科大学(現・兵庫県立大学)出身。かつては東大か東工大卒しか社長になれないといわれ、1996年に慶応大学出身の西室泰三氏が就任しただけで騒がれた会社だけに、驚きの人事でした。

 他にも日立製作所の社長となった東原敏昭氏は徳島大学卒、アサヒグループホールディングス社長の泉谷直木氏は京都産業大学出身です。グローバル化の波が押し寄せるなか、これまでのように学閥にこだわっている場合ではないという実力主義が、大企業にも浸透しつつあるといえます」(同前)

※週刊ポスト2015年5月1日号

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