ダイエットに失敗した経験、あなたにもないだろうか。その多くはリバウンドが原因だという。
「私のチームの研究によると、ダイエット成功後、再び太って元の体重より増えてしまう人は8割に達することがわかりました」
そう話すのは、予防医学研究者の石川善樹さん。石川さんは東大医学部を経て、ハーバード大学公衆衛生大学院を卒業。15年間にわたってダイエットの研究に取り組んできた。なぜリバウンドしてしまうのか。
「ダイエットの過程で体重とともに筋肉量が減れば、その分基礎代謝(生命活動のために最低限必要なエネルギー量)が減るので、同じ量を食べていても太りやすくなる。
だからダイエットに成功した後、元の食生活に戻したら、リバウンドするのは当たり前なのです」(石川さん)
ほとんどの人がその理屈を無視して、目先の体重を減らすことばかりを考えて、減量後の体重維持について考えていないという。
その石川さんが提唱するのが「Di理論」。この理論に沿ってリバウンドをコントロールすれば、減量後の体重が維持されるため、「もう一生、ダイエットをしなくてすむ」(石川さん)のだとか。
ではその中身を紹介しよう。
普通は、まず「何kg減らすか」という減量目標を立てるのが先で、減らした体重をどう維持するかは「後の話」と思いがち。しかし、「Di理論」の考え方はまったく逆だ。
「ダイエットは減量期と維持期に分けて、まず維持期の目標を設定することが大切です。なぜなら、体重を減らすための努力(減量期)と、減量後の体重を維持する努力(維持期)とはまったく種類が異なるからです。
本当は前者の方がつらくて、キープするだけの後者は比較的楽なはずなのですが、多くのかたが後者はずっと続けないといけないのでつらく感じるようです。だからこそ、無理なく維持できる目標体重を把握することが大切です。
例えば2kg減量したら、その体重を維持するために何をしなければいけないのかを最初に把握しておきます。つまり維持期に自分がどれだけのことができるかを考えてから、減量目標を決めるんです」(石川さん)
石川さんの研究によれば、ダイエット後の基礎代謝の変化などから、平均的な日本人女性が体重を1kg減らした場合、減量後の体重をキープするためには、摂取カロリーを1日40kcal減らす必要があるという。2kgダイエットするには40×2で80kcal、4kgなら40×4で160kcalという具合だ。
「160kcalといえば、だいたいおにぎり1個分。運動でいえばウオーキング1時間分に相当します。毎日それだけ食事を減らせる、あるいはウオーキングを雨の日も寒い日も続ける自信があるなら、4kgのダイエットに挑戦してもいいでしょう。ちょっと無理かもと思うなら2kgにすればいい。
無理は禁物です。継続できなくては必ずリバウンドしますから、まずは確実に達成できる目標を立てて減量しましょう。それで体重がキープできるようなら、もう1回、ダイエットの計画を立てればいいのです」(石川さん)
この時、要注意なのは、“痩せた時の自分”をイメージして減量目標を設定しないこと。
「それはとても楽しいことだから無理もできる。でも、繰り返しになりますが、無理な減量はその後の維持が難しいから失敗します。誘惑に負けないでください」(石川さん)
※女性セブン2015年5月7日号