4月25日に公開された映画『龍三と七人の子分たち』。大暴れする老人たちの姿を描いたビートたけしが、27日発売の週刊ポスト(5月8・15日号)で「理想の老後」について言及している。
まず、映画についてたけしはこう語る。
「今度は前作までの『アウトレイジ』シリーズとは打って変わって、久しぶりのコメディなんでさ。試写会でもかなり好評だったんで、客入りのほうも期待してるんだけどね。
今度の主役は『老人』でね。引退した元ヤクザのジジイたちが、オレオレ詐欺やら悪徳訪問販売でやりたい放題のガキ相手に大暴れするんだよ。主人公の龍三(藤竜也)は70歳で、昔は『鬼の龍三』って呼ばれて恐れられていた武闘派ヤクザだったんだけど、今や家族からも相手にされず、家にも社会にも居場所がないっていう情けない余生を送っていてさ。ところがある日、詐欺をやってる悪ガキどもとトラブルになって、昔のヤクザ仲間を集めて大騒動を起こすってストーリーなんだよな」
この映画が一種の「老人論」であることは間違いないという。あと数年で団塊世代は「70代」を迎える。超高齢化社会が今後ますます進行していく中、「長い老後をどう過ごすか」はすべての中高年にとって大きなテーマだ。たけしはこう提言する。
「世間の中高年も、龍三みたいに『大暴れ』とまではいかなくても、『俺たちには明日なんかいらない!』って開き直りゃ、残りの人生がゼンゼン違った色に見えてくるんじゃないか。
中高年が生きにくい理由は、体の無理が利かなくなったとか、自由になるカネが少なくなったとかいろいろあるんだろうけど、実は精神的な問題が大きいんじゃないかと思うんだよな」
年相応に家族や世間から尊敬される存在であろうとすることは結局、「若い世代に気に入られるかどうか」になってしまい、そうすると若い世代に媚びることにつながりかねない。「お前なんて早く死んじまえ」と思われるぐらいのほうが健全。理想は葬式で「よくぞ死んでくれた」と拍手喝采が起きること──たけしは、同誌でそんな「不良老人」へのススメを説き、森繁久彌さんを「男の理想」に挙げながら、児童ポルノ禁止法違反容疑で逮捕された横浜市の中学校の元校長を反面教師とすべきとしている。