ライフ

池波正太郎が愛した東京・神田を静かに味わう隠れ家的角打ち

創業当時の味のある看板は今も店内に飾られている

 JR、あるいは地下鉄銀座線の神田駅を降りて、ぶらぶら歩いてみる。目指す角打ちの名店『加島屋酒店』がある神田須田町1丁目界隈は、その昔の住居表示が連雀町。江戸末期や明治時代から続く蕎麦屋、あんこう料理屋、料亭などの老舗が点在し、当時の風情がそのままに残っている場所だ。

「うちは昭和初期の創業ですけど、店が道路の向かい側にあった頃は、そういう町の雰囲気に合った店構えだったんですよ。数年前にここに移ったときに建て替えてしまって、昔の面影がなくなってしまいました。ごめんなさいね」と、女将の長(ちょう)初枝さん(66歳)。

 今では店内に飾られているモノクロ写真で、昭和の頃の懐かしい角打ち風景をかいま見ることができるだけだ。しかし、常連はあまりそのことを気にかけてはいない。

 週一ペースで通っているというサラリーマンは「昔のまんまの店だと、かえって有名になってしまって落ち着いて飲めないじゃないですか。赤ちょうちんこそ下がっているけれど、見た目はスーパーマーケットかコンビニ風。ここで角打ちができるなんて誰も思いません。だからこそ、隠れ家的でゆっくり飲める。そこが魅力なんですよ」(50代、流通関係)

 と、上機嫌だ。

 いつもひとりで飲みに来るという40代公務員が、さらに味のあるコメントで、この町そしてこの店の良さを強調する。

「大好きな池波正太郎のエッセイに、このあたりの老舗がよく出てくるんですよ。そんな店を探しながら小路を辿っていたら、ここを見つけました。池波さんはまさか来なかったでしょうけど、お陰?で終業のあとがよけいに楽しくなりました」

トピックス

ブラジルを公式訪問している佳子さま(写真/アフロ)
佳子さま、外交関係樹立130周年のブラジルを公式訪問 子供たちと笑顔でハイタッチ、花柄のドレス姿も 
女性セブン
「寂しい見た目」の給食に批判が殺到(X /時事通信フォト)
《中国でもヤバい給食に批判殺到》ラー油かけご飯、唐揚げ1つ、「ご飯にたまご焼きだけ」と炎上した天津丼…日本・中国で相次ぐ貧相給食の背景にある“事情の違い”
NEWSポストセブン
来来亭・浜松幸店の店主が異物混入の詳細を明かした(右は来来亭公式Xより)
《“ウジ虫混入ラーメン”が物議の来来亭》店主が明かした“当日の対応”「店舗内の目視では、虫は確認できなかった」「すぐにラーメンと餃子を作り直して」
NEWSポストセブン
家出した中学生を自宅に住まわせ売春させたとして逮捕された三ノ輪勝容疑者(左はInstagramより)
《顔面タトゥーの男が中学生売春》「地元の警察でも有名だと…」自称暴力団・三ノ輪勝容疑者(33)の“意外な素顔”と近隣住民が耳にしていた「若い女性の声」
NEWSポストセブン
山本賢太アナウンサーのプロフィール。「人生は超回復」がモットー(フジテレビ公式HPより)
《後悔と恥ずかしさ》フジ山本賢太アナが過去のオンラインカジノ利用で謝罪 「うちにも”オンカジ”が…」戦々恐々とする人たち
NEWSポストセブン
親日路線を貫いた尹政権を「日本に擦り寄る屈辱外交」と断じていた李在明氏(時事通信フォト)
韓国・李在明新大統領は親中派「習近平氏の接近は時間の問題」、高まる“日本有事”リスク 日米韓による中国包囲網から韓国が抜ける最悪のケースも
週刊ポスト
田中真一さんと真美子さん(左/リコーブラックラムズ東京の公式サイトより、右/レッドウェーブ公式サイトより)
《真美子さんとの約束》大谷翔平の義兄がラグビーチームを退団していた! 過去に大怪我も現役続行にこだわる「妹との共通点」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《「来来亭」の“ウジムシ混入ラーメン”動画が物議》本部が「他の客のラーメンへの混入」に公式回答「(動画の)お客様以外からのお問い合わせはございません」
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン
6月9日付けで「研音」所属となった俳優・宮野真守(41)。突然の発表はファンにとっても青天の霹靂だった(時事通信フォトより)
《電撃退団の舞台裏》「2029年までスケジュールが埋まっていた」声優・宮野真守が「研音」へ“スピード移籍”した背景と、研音俳優・福士蒼汰との“ただならぬ関係”
NEWSポストセブン
小室夫妻に立ちはだかる壁(時事通信フォト)
《眞子さん第一子出産》年収4000万円の小室圭さんも“カツカツ”に? NYで待ち受ける“高額子育てコスト”「保育施設の年間平均料金は約680万円」
週刊ポスト
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン