子供のボール遊びが禁止される一方で、行われるお年寄りたちのゲートボール大会…。子供たちの遊び場であったはずの公園は、その様相を変え、今では子供たちの声がうるさいと苦情の対象となっている。
コミュニティーの場であるはずの公園がいったいなぜこんなことになってしまったのか。都議会議員のおときた駿さんが言う。
「権利意識の拡大によって、“自分たちの生活が他人によって脅かされるべきではない”と主張する人が増えています。そうしたなかで今や公園や保育施設は、“子供の大声が耳障り”、“ボールがぶつかってけがをするかもしれない”と個人の生活を害する迷惑施設のようになってしまっているのです。本当はそうした問題を地域コミュニティーで解決していくことが理想ですが、地域とのかかわりが希薄になってしまっているのでなかなか難しい。結果として、さまざまな規制が設けられることになってしまうのです」
東京都の環境確保条例ではこれまで子供の声であっても一定数値以上の基準に達するものは一律に「騒音」として規制されていた。しかし、“子供の声を抑制することは子供の健やかな成長・育成に好ましくない”という考えから4月1日に改正条例が施行され、今後は数値基準でなく、社会生活上の受忍限度(※騒音、振動などによる環境権や、公害問題において「一般人が社会通念上、我慢できる範囲」のこと)を超えるかどうかで総合的に判断される。
「これについても、『子供は泣いたりするのが仕事』と賛成する声と、『騒音のままにしておいてほしい』という声と真っ二つに意見が分かれています」(同前)
社会から子供たちが消えてしまう前に、かつての地域コミュニティーの場にあった“ほんの少しの譲り合い”を私たちは忘れてはいけないのではないだろうか。
※女性セブン2015年5月7日号