5月初旬のメーデーからの連休にマカオで開催予定だった高級腕時計や宝飾品、古銭などの展示即売会が、中国本土で展開中の反腐敗運動の影響を受けて中止になったことが明らかになった。主催者側がホームページで「中国の反腐敗運動で、入場者が減少し、出品者の利益も落ち込むことが懸念されるため、即売展示会の日程を調整する」などと説明しており、これほど直接的な表現で中止の理由を知らせるのは前例がない。
香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、「ヨーロッパ・エーシャン・ウォッチ・トレード・ショー2015」のプロジェクトマネージャーであるヴィンッシ・タン氏は同紙に「来月(5月)開催予定の展示即売会は中国のキャンペーンの影響が大きく、中止することにした。なぜならば、マカオのカジノのVIP客が大幅に減少しており、それが高級品の売り上げの激減に通じるからだ」と話している。
実際問題としてマカオを訪れる中国人観光客は激減している。2014年の通年のカジノ収入は3515億パタカ(日本円で5兆2000億円余り)と前年比2.6%減と落ち込んでいる。習近平指導部による大規模な反腐敗運動の影響であることは間違いなく、カジノを訪れる党政府幹部や国有企業幹部などが減っているためだ。マカオでも運動が本格化したことから、同年6月以降カジノ収入が前年同月比を下回り、1999年12月にマカオが中国に返還されて以降、初めて通年のカジノ収入が前年を下回った。
2015年に入っても、減収傾向に歯止めがかからない。1月は前年比17.4%減。2月は330.4%減。3月も39%と大幅減となり、10か月連続の減少を記録している。
香港紙「リンゴ日報」によると、タン氏の会社が3月にマカオで開催した高級宝飾品のプライベート展示即売会の入場者は前回に比べて60%も減少しており、これが5月の即売会中止の引き金になったようだ。
これは同社のイベントばかりでなく、高級品のオークションで知られるサザビーの昨年の売り上げも3億4600万ドル(415億円)と前年の4億3800万ドル(525億6000万円)から比べると110億円以上も落ち込んでいる。反腐敗運動が続く限り、マカオの景気が回復することは困難とみられる。