田辺画伯渾身のオリジナルビジュアルを使用したポスター
映画『名探偵コナン 業火の向日葵』が絶好調だ。公開開始から1週間の4月24日時点で、劇場版シリーズ史上最速となる観客動員数100万人を突破し、シリーズ最高興行収入を記録した前作「名探偵コナン 異次元の狙撃手」を超える勢いとなっている。
こうした人気の背景としては、TVアニメ「名探偵コナン」のターゲットである子供たちに加え、当サイトでも「劇場版コナンに毎年足を運ぶ20~30代 『一緒に成長してきた』」で紹介したように、長年のファンが劇場を訪れること。また、2014年10月4日から2015年3月28日までレギュラー放送が行なわれた、怪盗キッドが主人公のTVアニメ『まじっく快斗1412』によって、“怪盗キッドファン”という新たなファン層を獲得――といった要因が挙げられそうだ。
実際に同作品のプロモーションは、「KID STEAL PROJECT」という名称で展開。怪盗キッドが、お宝を盗む・届けるなど、合計18のミッションを遂行した形を採っており、作品の世界観との連携もファンの心をつかんだ。このプロジェクトでは、怪盗キッドが『少年サンデー』のロゴを盗んだり、人気の高い劇場CM「NO MORE映画泥棒」とコラボしたほか、さまざまな仕掛けが話題になったが、飛び抜けたインパクトを与えたのは、今や“画伯”としても多くのファンを擁する俳優・田辺誠一さん(以下、田辺画伯)の起用だろう。
多数のメディアで取り上げられ、たくさんのユーザーに絶賛され、“この手があったか!”と多くの業界関係者を悔しがらせた、この田辺画伯起用の裏側について、同作品の宣伝プロデューサーである東宝 宣伝部映画宣伝企画室・林原祥一さんに聞いた。
「今回の映画『名探偵コナン 業火の向日葵』は、劇場シリーズの第19弾ですし、劇場版シリーズが20周年を迎えることに向けて、長く愛されている作品だからこそ“チャレンジすること”をテーマに考えていました。また、作品内容自体“アートミステリー”ですし、 “メインビジュアルを模写してもらう”というアイデアが出たんです。でも実際に『誰に描いてもらうか?』という点については、いろいろ悩みましたね。
そうして迷ったり、悩んだりしている時に、ちょうど田辺さんの作品を拝見して…。あの画風に挑戦的なものを感じましたし、ある種“謎めいた世界観”というか、独特の魅力があって『これはアートであり、ミステリーでもある!』と作品に通ずるものを感じました」(林原さん)
この「奇跡のコラボレーション」を実現するべく、田辺画伯へ作品制作のオファーをしたところ、「『名探偵コナン』大好きです!」ということで、話はスムーズに進むかに見えた。