新緑も芽吹き、関東一帯に快晴の空が広がった4月22日の昼下がり。多摩川にほど近い都内の高級マンションに一台のワゴン車が止まった。車を降りた初老の女性は、両手いっぱいに白い菊の花を抱え、うつむきながらマンションへ入って行く。その後も喪服姿の弔問客や葬儀業者の慌ただしい出入りが続いた。
この日、同マンションに住むオダギリジョー(39才)と香椎由宇(28才)夫妻の次男・Aちゃん(享年1)の通夜が、自宅の一室でひっそりと営まれていた。
「お子さんの亡骸を前にして、香椎さんもオダギリさんも憔悴しきっていて…。あまりにやつれきったふたりの姿に、親族も声をかけることさえできずにいました…」(オダギリの知人)
ふたりの所属事務所が、次男の急逝を公表したのは、4月24日午後7時のこと。《1才9日という短い命ではありましたが、生前の御厚詛を深謝し、謹んでご通知申し上げます》。4月20日、絞扼性(こうやくせい)イレウスによって亡くなったとだけ記され、詳細は明らかにされなかったが、オダギリ・香椎夫婦は慟哭の1週間を過ごしていた。
香椎が次男の異変に気づいたのは、1才の誕生日の翌日となる、4月12日の早朝のことだった。
「その日、Aちゃんは朝から苦しそうで、便の様子もおかしかったので、香椎さんが病院に連れて行ったところ、絞扼性イレウスと診断されたんです。すぐに入院して、14日に緊急手術が行われました」(香椎の知人)
絞扼性イレウスとは、腸がねじれて締まった状態になり、血流が止まってしまう腸閉塞の一種。放置すれば腸が壊死して死に至るため、治療には外科手術が必要だ。
小さな体にメスを入れる──あまりにもつらい選択だった。そして、術後6日目の20日に容体が急変。同午前6時、息を引き取った。