オダギリジョー(39才)と香椎由宇(28才)夫妻の次男が絞扼性(こうやくせい)イレウスで亡くなっていたことが発表された。1才だった。
愛する者や親しい者との死別は、「愛別離苦」といい、古来、仏教の「四苦」の中でも最も苦しいものだといわれてきた。中でも「逆縁」といって、子供に先立たれた親の悲嘆は、数多の死を見つめてきた瀬戸内寂聴さんをして、「この世で最も無残で、慰めの言葉は存在しえない」といわしめるほどの絶望である。香椎由宇はいま、耐え難い悲しみの淵にいることだろう。
死別したのが1才や2才といった幼児だった場合、多くの母親は、悲しみのあまり自分を責めることになる。
例えば、4年前に1才半の長女をSIDS(乳幼児突然死症候群)で亡くしたある主婦(35才)は、当時を振り返りながらこう語る。
「私が丈夫に産んであげられなかったから…と、ただ自分を責め続ける日々でした。死後1年間は精神も不安定で、まともに家事さえできない状態が続きました。2年後に次女を妊娠したことを契機に、ようやく“明るく生きることが長女への供養になるんだ”と思えるようになりましたが、それまでは生き地獄でした…」
芸能界を見ても、2005年3月にSIDSで1才の長男を亡くした元JUDY AND MARYボーカルのYUKI(43才)や、2008年7月に生後6か月の長男を腎不全で亡くした元モーニング娘。の飯田圭織(33才)が、死後しばらくは自責の念に押しつぶされていたことが伝えられている。
2009年8月に板尾創路(51才)の1才の愛娘がSIDSで亡くなった時には、妻はショックのあまり葬儀でも立っていられず、板尾の支えがなければ後追い自殺しかねない状態だったという。
家庭教育研究所代表で、親子の死別問題に詳しい高橋愛子さんが語る。
「まだしゃべれない乳幼児の場合、意思表示ができないので、どんな気持ちだったのか、なにが原因だったのか、逝ってしまった後もわからないままなんですよね。その苦悩が、“全ては理解できなかった私が悪い”という自己否定につながってしまうんです。精神が崩壊したり、最悪の場合は、自殺してしまうかたもいます。
それを防ぐためにも、抱えている絶望は全力で吐き出さなければいけません。葬儀でワッと泣き叫んでいる親の方が、立ち直りは早いんです。滅茶苦茶な言葉でもいいから、家族に当たり散らすべきです。そしてそれを、家族は黙って聞いてあげる。これを繰り返しながら、時間が癒してくれるのを待つしかないんです」
※女性セブン2015年5月14・21日号