高校野球の名門・PL学園高等学校は、昨年10月に新入生部員の募集停止を発表し、存続の危機に陥っている。母校の黄金期を支えたOB、片岡篤史(1988年卒、元日ハムほか)、橋本清(1988年卒、元巨人)、大西宏明(1999年卒、元近鉄ほか)の3氏が「寮生活」と「放課後」を語り合った。
橋本:寮生活はホント厳しかったよな。PLでは3年生1人に対して、決まった下級生が身の周りの世話をする「付き人」になる制度がある。先輩のいうことは絶対。怒られるかもしれへんし、ミスしたらアカンから無難にこなそうとして、自然と会話がなくなる。
片岡:食事だって悠長に食べる時間がなかったよね。
橋本:「メシは噛まずに飲め」っていわれたもんな。カレーはありがたかったわ、飲みやすくて(笑い)。でもカレーも「箸で食え」といわれて必死で で食ってたな。まあ、飲むんやけど。
大西:とにかく寮でやることが多くて、睡眠時間が足りない。授業中はずっと寝ていました(笑い)。
片岡:大西の時は授業はどんなスケジュールやった?
大西:平日は5時間目まで普通の授業で、6時間目は体育という名目で野球部の練習が始まり、15時から19時くらいまででしたね。
橋本:一緒やな。やっぱりダッシュかましてたん?
大西:はい(笑い)。
──ダッシュとは?
橋本:5時間目が終わると、野球部員は教室から寮までダッシュで帰るんですわ。
大西:準備をしなきゃいけないからです。チャイムが鳴ると全力疾走。だから授業終了10分前に皆起き出して、教室でストレッチを始めていました(笑い)。
橋本:寮まで2キロ、アップダウンがあって憂鬱やった。
片岡:1人でも遅れると連帯責任やからね。でもそこで助け合いの精神を覚えて、チームワークが作られた。でもあれも、理解のある先生たちのおかげやで。例えば“校長監督”として有名になった正井(一真)先生。国語の担当として僕らの時もいらしたけど、エエ先生やったよな。
橋本 授業中、寝ろとはいわない。でも授業開始20分で自習にしてくれた。自習だから皆寝る(笑い)。
大西 わかります(笑い)。
※週刊ポスト2015年5月8・15日号