昨年10月に放たれた2発目の“黒田バズーカ”、いわゆる「異次元金融緩和」により、消費増税後に萎んでいたマンション人気が再び盛り上がっている。特に、都心の一等地にそびえ立つタワーマンションの価格は高騰を続け、「バブル」の様相を呈している。
そんな中、中国人をはじめとする外国人が上層階の部屋を買い漁っているとの噂も多いが、現状はどうなっているのか。『やってはいけないマンション選び』(青春出版社)の著者である住宅ジャーナリストの榊淳司氏が報告する。
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いま、東京都心エリアでは坪単価(3.3平方メートル)の相場観が400万円を超え、年収1000万円以下のサラリーマンには到底手が出ない新築のタワーマンションがたくさんあります。
高額マンションの需要を下支えているのは、中国など東アジア系の外国人です。大手デベロッパー関係者から、「あのマンションは3割が外国人だ」といった話を聞くこともよくあります。また一部の新聞報道によると、大手業者が全住戸の半分以上を中国人に売ってしまった大型タワーマンションの存在を指摘しています。
外国人が購入していると思われるマンションは、新宿や池袋、六本木といった外国人にも有名なエリアや、東京オリンピックが開催される湾岸エリアが多く、広尾や代々木上原といった静かな住宅地は好まれていません。また、建物の外観が派手なタワーマンションに多く入居する傾向があります。
東アジア諸国全体もバブルに沸いている中、なぜ彼らは東京の不動産に魅力を感じているのか。それは物件価格に対して、人に貸した場合に年間何%の賃料収入が得られるかという「利回り(収益率)」を基準にすれば一目瞭然です。
本来、マンションの健全な収益率は5~8%で、日本でも大都市近郊ではそのぐらいで回せる物件はいくらでもあります。空室リスクの高い地方都市なら10%くらいが当たり前。逆に4%未満になったらちょっとしたバブル状態。まさに今年初頭の東京都心エリアの新築マンションは、3%前後の物件がほとんどなのです。
しかし、例えば台北(台湾)の一等地なら、それをも下回る2%未満が当たり前。「オリンピックも開かれる東京の中心部がまだ3%で回るのなら、いま買わなきゃ損」と、投資目的で購入する人が多いというわけです。
もちろん、日本の不動産を所有する外国人にも、国籍にかかわらず「私有財産権」が適用されます。管理費や固定資産税などをしっかり払えば東京のマンションを買ったり売ったりするのは自由です。最近では中国人の富裕層が自ら住んだり、家族や知人などに貸したりするケースも多くなりました。