ちょっと気が早いが、2年半後の中国共産党の第19回党大会の最高指導部人事を大胆に予測してみたい。
結論からいくと、習近平主席は第16回党大会から続いてきた、最高指導者育成のための若手登用策は採用せず、習氏ら第5世代が2022年まで最高権力を独占する最高指導部人事を実行するに違いない。
2012年、胡氏は10年後の第20回党大会での最高指導者含みで共青団閥の胡春華・広東省党委書記のほか、汪洋・副首相、李源潮・国家副主席、あるいは孫政才・重慶市党委書記らを党政治局入りさせた。いわゆる第6世代である。
これまでの例からいけば、2017年の第19回党大会では、その5年後の第20回党大会をにらんで、少なくとも次期最高指導者の最有力候補と目される胡春華氏の常務委入りが予想される。
しかし、北京の党幹部筋が明らかにしたところでは、習近平は共青団閥の胡氏らの常務入りを望んではおらず、習氏ら第5世代が常務委を独占する方向で動いているという。常務委入りする年齢制限は「七上八下」といわれ、67歳以下は常務委入りでき、68歳以上は引退というものだった。この例から言えば、次期党大会で常務委員として残るのは習氏と李克強氏の2人だけで、あとの5人の常務委は引退することになる。
同筋によると、この年齢制限を適用して、習氏は腹心の栗戦書・党中央弁公庁主任(政治局員=19回大会時点で67歳)、王滬寧・党中央政策研究室主任(同62歳)、趙楽際・党中央組織部長(同60歳)の登用を狙っているという。
さらに、「習氏が考えている奇策中の奇策は19回大会時点で69歳の王岐山・党中央規律検査委員会書記の常務委残留だ」と同筋は明かす。そのような習氏の意向が如実に表れているのが昨年発表された「2014―2018年全国党政指導グループ建設規格綱要」だ。
そこには「指導グループの年齢構成については老年、中年、青年という各世代を登用し、単に年齢での線引きはすべきではない」という従来の年齢制限を明確に否定する文言が謳われており、習氏の深謀遠慮が透けて見える。
●文/ウィリー・ラム 翻訳・構成/相馬勝
※SAPIO2015年6月号