世界で初めてビニール傘が登場したのは昭和30年代。開発したのはホワイトローズという雨具などの製造販売をしている日本の企業だった。しかし、中国などで生産が始まると価格破壊が進み、同業者は次々に廃業していった。
「そんな1982年、選挙を控えたある議員から、“雨中でも有権者に顔が見えやすく、軽くて壊れにくい大きな透明傘が欲しい”との要望を受けました。それで、“より透明に、より丈夫に、より美しく”を求めて、世界初のビニール傘開発メーカーの誇りをもって、開発にあたりました」
ホワイトローズ代表の須藤宰さんは当時をそう振り返る。現在は、さらなる改良を重ね、濡れてもべとつかない“3枚重ね・多層オレフィン生地”を採用。骨は直径3.5mmのホワイトグラスファイバー樹脂。しなやかで折れにくく、風の力を吸収してくれる。さらに、傘の内側からの風圧を逃す“逆支弁穴開き加工”で、強度をアップ。「縁結」(えんゆう・8640円)が完成した。 現在は大きさの違う7種の傘がある。
そんな高級ビニール傘は皇室とのご縁が深い。2010年の全国植樹祭で、両陛下直々に透明なビニール傘を持たれ、見通しのきく傘にとても好印象を抱かれたという。
「そのご縁で皇室に傘を納めたところ、さっそく秋の園遊会で美智子皇后陛下がお持ちくださいました。お優しい皇后さまはきっと“園遊会にご出席の皆さんをおもてなしの心で迎えたい”と、お顔の見える傘『縁結』を選ばれたのでしょう」(前出・須藤さん)
先日来日した英国のウイリアム王子も同社の『シンカテール クラシック』を使用。 ロイヤルファミリーご愛用の高級傘。セレブ気分で梅雨を乗り切ろう。
※女性セブン2015年5月14・21日号