自民党参院議員の関連政治団体に「日本歯科医師連盟」が計9500万円を献金したとされる問題や、世耕弘成・官房副長官に原発関連会社の幹部らが計750万円献金したことが、法の抜け道を駆使して、政治資金規正法で定められた「寄付額の上限」を超えた違法な献金だと問題視されている。自民党によるメディア弾圧の司令塔である重鎮議員に、同じ構図の疑惑献金があることを5月8日発売の週刊ポスト(5月22日号)が報じている。
その議員とは、自民党情報通信戦略調査会長を務める川崎二郎氏。やらせ問題のNHKと『報道ステーション』でコメンテーターが官邸批判したテレビ朝日の経営陣を自民党本部に呼び出して事情聴取した人物だ。
同誌による疑惑の概略はこうだ。川崎氏は2013年2月、地元選挙区である三重・津市のホテルで政治資金パーティー「川崎二郎と語る会」を開いた。資金管理団体「白鳳会」の政治資金収支報告書によると、256人がパーティー券を購入し、合計約1100万円余りの収入があった。
報告書には20万円を超えるパーティー券購入者の氏名や住所などを記載しなければならない。収入の内訳を見ると、医療法人「F会」と社会福祉法人「I福祉会」からそれぞれ100万円ずつ、合計200万円の収入があった。しかも、両法人とも同じ日(2012年12月17日)にパーティー券を購入している。
インターネットでF会やI福祉会を検索すると、ともに「Fグループ」のホームページに飛ぶ。券を購入した2法人は三重で介護施設事業などを展開する「Fグループ」に属する法人なのだ。収支報告書に記載されている2社の代表者(理事長)の名前も同じ。F会は老人保健施設、I福祉会はケアハウスを運営し、住所は別だが、ともに津市に所在している。
政治資金規正法では「政治資金パーティーの主催者は1つのパーティーで同一の者から150万円を超える支払いを受けてはならない」、または「何人も1つのパーティーで150万円を超える支払いをしてはならない」と規定されている。
両法人が実質的に一体であるならば、量的制限を超える200万円のパーティー券が購入されたことになる。さらに、国から税制優遇措置を与えられている医療法人や社会福祉法人からの献金の妥当性も問われよう。
同誌は政治資金問題に詳しい専門家や、川崎二郎事務所にも見解を質している。