スポーツ

大相撲夏場所 モンゴル勢率いる白鵬VS新世代対決が見もの

 5月10日から始まる大相撲夏場所が不穏な空気に包まれている。理由はモンゴル人力士たちの“内紛”だ。

 これまでモンゴル勢は基本的には横綱・白鵬や日馬富士の元に結束してきた。しかし最近はその一団と一線を画す派閥がある。春場所で白鵬を破って13勝を挙げて準優勝し、今場所に大関取りがかかる関脇・照ノ富士や、人気力士の小結・逸ノ城らが形成する「鳥取城北高グループ」である。

 同校は過去、琴光喜(元大関)、星風(元十両)など10人の関取を輩出した名門。最近はモンゴルからの留学生も多いが、「高校OB会の結束が固く、他のモンゴル人力士と違って、巡業先で食事に行く時も白鵬のグループと交わることはない」(相撲担当記者)という。

 これはモンゴル人軍団のトップに君臨し、その結束を重視する白鵬には看過できないようだ。

 例えば4月29日の稽古総見。7000人の観衆の前で白鵬は三番稽古で逸ノ城に8連勝した。メディアは「気合いの入った稽古」などと伝えたが、相撲ジャーナリストは違う見方だ。

「巡業や出稽古などでかわいがり、後輩に上下関係を植え付けさせるのは、古くからの角界の常套手段。白鵬は“俺のほうが上だ”と見せつけ、従わせたかったのでしょう。髷まで砂だらけになった逸ノ城の背中を払ってやっていたのが照ノ富士と、同じ鳥取城北出身の前頭・貴ノ岩だったのは象徴的でした」

 白鵬は照ノ富士にも目を光らせている。だが、少しアプローチは違うようだ。

「力で抑える“ムチ”ではなく“アメ”作戦。土俵入りの際の『太刀持ち』『露払い』への抜擢です。

 照ノ富士は同部屋の横綱である日馬富士の土俵入りでこれを務めたかったが、昨年、番付が上がってもやらせてもらえなかった。そんな照ノ富士を白鵬が同秋場所で太刀持ちに起用したのです。その後も九州場所での奉納土俵入りで起用しています」(前出・ジャーナリスト)

 実はこれも角界では“常識”の懐柔策なのだとか。

「かつて千代の富士(現・九重親方)が、嫌な相手だった寺尾(現・錣山親方)を一門外でありながら露払いに起用したことがある。照ノ富士は確かに昨年の秋場所で東前頭筆頭に昇進するなど、急激に力を付けていた。白鵬は照ノ富士の存在を脅威に感じ始めているのかもしれません」(同前)

 1日の伊勢ヶ濱一門の連合稽古では、2人は本場所さながらの熱戦を繰り広げた。白鵬が照ノ富士の顔を張れば、照ノ富士は土俵際での逆転下手投げを打つなど、結果は2勝2敗の五分。実は照ノ富士は白鵬が狙う双葉山の69連勝の記録更新を、春場所に36で阻止した因縁の男でもある。

 アメとムチを駆使してモンゴル人の結束を図る白鵬と、我が道を行く「新世代」の対決で、夏場所は土俵の外も面白そうだ。

※週刊ポスト2015年5月22日号

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン