とにかくケガ人が続出している巨人。まず開幕前の3月11日、オープン戦で大田泰示が左太ももを痛めて退場した。開幕直後の4月2日には、ヤクルトから移籍して張り切っていた相川亮二が右太ももの肉離れで登録抹消。代わりに原辰徳監督が「99%ない」と断言していた阿部慎之助の捕手復帰が実現したが、阿部も18日に同じく太ももの肉離れで戦線を離脱した。その前日にはチーム本塁打王だった亀井義行も「下半身の張り」で離脱しており、28日には主将の坂本勇人が「左ふくらはぎの張り」でベンチから消えてしまった。
投手にも故障者が列をなしている。開幕前には澤村拓一、山口鉄也、杉内俊哉らが「背中の張り」や「寝違え」など体の不調を訴えた。彼らはなんとか開幕には間に合わせたものの、同じく開幕前に左前腕部炎症を起こしたエースの内海哲也は未だ一軍登板なしだ。
極めつきは、二軍で調整を続けていた西村健太朗だ。5月1日のヤクルトとのイースタンの試合で、ライナーが顔面を直撃してマウンドにうつぶせで倒れ、そのまま入院。10針縫う大ケガだった。選手生命を左右するほどのケガにならなかったのは不幸中の幸いだったが、呪われているかのように「野戦病院」の様相を呈している。
原監督は昨オフにチームスローガンとして「新成」を掲げていた。蓋を開けてみれば主力が続々といなくなり、スタメンには移籍組や若手が並ぶ。なんとも皮肉な「新成」の形である。巨人OBの広岡達朗氏が嘆く。
「今も昔も、開幕してしばらくすればここが痛い、あそこがおかしいという選手はいました。しかし昔は湿布を巻いたら大丈夫、といってグラウンドに送り出したものです。ところが今は大事を取れといってすぐに休ませる。そりゃあ医者は早く治させるために休ませるでしょう。でもそれではプロフェッショナルとは呼べない。
百歩譲って医者が休ませるほどのケガだったとしましょう。ならば現場のトレーナーは何をしているのかということになります。巨人は立派なトレーナーを揃えているはずなのに。結局、故障者が大量に出るのは、オフやキャンプの過ごし方を間違えているからです。選手個々人の鍛え方が足りないことがすべての原因ですよ」
※週刊ポスト2015年5月22日号