この勢いは本物か。5月に入っても、DeNAの勢いが衰えない。球団初となる両リーグ最速20勝をはたすなど絶好調。まず野手では、梶谷隆幸、筒香嘉智の3、4番コンビに加え、昨年までキャプテンを務めた石川雄洋も好調。関根大気、嶺井博希といった日替わりヒーローも誕生している。スポーツライターが話す。
「5番・ロペス、6番・バルディリスの外国人以外、スタメンは生え抜きのメンバーで構成されている。これぞ、ファンが望んでいること。就任当初、ラミレスや中村紀洋に頼っていた頃とは隔世の感があります。中畑(清)監督の手腕は見事というほかないでしょう」
打線だけではなく、投手陣も手厚くなっている。抑えにはルーキーの山崎康晃が固定され、新人らしからぬマウンド度胸を見せている。先発陣も、昨年リーグ2位となる12勝を挙げた久保康友、リリーフから転向した山口俊、3年目の井納翔一、開幕から安定した投球を続けるモスコーソと駒が揃っている。
投手陣を見渡しても、山口の先発転向、山崎康の抑え大抜擢と中畑監督の適材適所の采配が的中しているのだ。
「中畑監督は試合後のコメントひとつ取っても、選手の性格を見抜き、言葉を選んでいます。たとえば、エース候補の井納には特に厳しい。3月31日の広島戦では、大量リードをもらいながら、4回4失点で降板すると、『あのピッチングでは野手に大変失礼。今のままでは信頼できない。降板した後も、声も出さず、仲間の応援もしない。そういうところも、教育しないといけない』と切り捨てました。
5月1日の中日戦では、1対1の同点で迎えた8回のルナの打球を振り返り、『ピッチャーゴロという打球じゃないの? 反応が遅かった。続投させたのもオレだけど』と辛口コメント。
中畑監督は『アイツはオレと同じで、すぐ調子に乗って、天狗になる。だから、鼻っぱしを折ってやらないといけないんだ』と話しています。また、マスコミに対しては厳しいコメントをしますが、普段は井納に限らず、選手と密にコミュニケーションを取っている。だから、選手も後腐れなく、試合に臨める。これも、チームに中畑野球が浸透している要因でしょう」
首脳陣と選手の息もピッタリ合っている中畑DeNA。絶好調は、春の珍事ではない。