中国で4月、高級外車フェラーリやランボルギーニによる事故が連続して発生した。フェラーリといえば、中国では税金や購入手続などに費用がかかることもあって、総額で2250万元(約4億5000万円)もするといわれており、これらの事故は大金持ちのドラ息子らの仕業といわれている。
ネット上では、これほどの高価な外車を20代そこそこの息子に買い与えることができる親の素性に関心が集まっており、「習近平はこれほどの大トラをどうしても捕まえないのか」などとの批判が書き込まれている。国営新華社通信(英語の電子版)などが報じた。
北京市で事故が発生したのは4月11日深夜。2008年の北京五輪の競技会場となった通称「鳥の巣」と呼ばれる北京国家体育場付近のトンネルで、ランボルギーニがフェンスや側壁に衝突、大破した。後続のフェラーリも壁などに激突したが、運転していた若い男性2人は奇跡的にけがはなく、ランボルギーニの助手席に乗っていた女性が腰に軽傷を負っただけだった。
原因はスピードの出し過ぎ。事故当時、この2台の回りには高級外車数台が停車していたことから、数台でレースをしていたとの疑惑が浮上したが、この2台以外の車は警察が駆けつけると、慌てて現場から逃げ去るように走り去っていったという。
警察の調べでは、2人は20歳と21歳で、制限速度の時速60kmを100kmも超過する時速160kmを出していたとされ、危険運転罪で逮捕された。北京の朝陽裁判所は近く2人に判決を言い渡す予定だ。
上海の事故は、4月28日の雨の夜、フェラーリが高速道路上でスピードを出しすぎてガードレールなどの衝突し大破したもの。その後、運転していた男の父親が大物だったことが分かったことから、ネット上で大きな話題を呼んだ。
この父親は秦暁といい、中国の国有金融グループ最大手、中国国際投資信託の総経理(社長)や中国実業銀行総裁、香港を拠点とする国有大型コングロマリット最大手、中国招商局グループのトップである会長や中国人民政治協商会議(政協)委員を歴任した大物。
今回の北京と上海の事故の当事者の父母が大物だったこともあって、単なる自動車事故を国営新華社電も報じるなど異例の報道ぶりとなった。この背景には、習近平国家主席が大々的に展開する反腐敗運動があり、中国社会全体が大物幹部の豪華な生活ぶりに批判的だという傾向を強く反映しているのは間違いない。
これを裏付けるように、ネット上では「彼らの高級車の金はどこから出たのか。毎年の納税額はどれくらいなのか。だれが彼らの後ろ盾(スポンサー)なのか」などの書き込みがみられる。