昭和36年の『娘と私』に始まるNHK連続テレビ小説。昭和の作品の多くが40%近い視聴率を記録したが、その人気要因のひとつとなっているのが、子役たちの存在だ。
現在放送中の『まれ』では、主人公の子供時代を1~6話まで演じた11歳の松本来夢が一躍注目を集めたが、昭和の作品で忘れることのできない子役の一人が、『鳩子の海』(昭和49年)の斎藤こず恵である。原爆で記憶を失ない戦争孤児となった鳩子が「日本よ、日本」と口ずさむシーンは視聴者の心を強く打ち、天才子役と評された。
もう一人の昭和の天才子役が『おしん』(昭和58年)で少女期を演じた小林綾子である。登場は32話に及び、当時10歳の少女が並み居るベテラン俳優たちに引けをとらない存在感を見せてくれた。
キャストの豪華さではなく物語の内容に重きがおかれる「朝ドラ」は、子役をはじめとした意外な登場人物が輝き出すという楽しみを秘めているのだ。
※週刊ポスト2015年5月22日号