国内

大前氏 大志を抱く若者減少の理由は「一人っ子」「偏差値」

 現在の日本経済の構造的な問題点を抉り出した大前研一氏の新刊『低欲望社会──「大志なき時代」の新・国富論』(小学館)が話題を呼んでいる。大前氏は若者の“低欲望”に一定の理解を示すも、「大志なき若者」の存在を憂いている。その原因はどこにあるのか? 大前氏はこう説明する。

 * * *
 戦後日本の教育は、資源も食料もない日本は外国から資源を輸入し、それを加工して輸出する「加工貿易立国」で稼ぐしか生きていく道はない。「働かざる者、食うべからず」──と教えていた。このことを私たちの世代は小学校で耳にタコができるほど聞いていた。

 その結果、誰もが必死に働き、日本は世界に冠たる輸出大国になって高度経済成長を遂げたわけだが、「働かなければ食えない」という危機感がなければ、大志を抱くこともできない。もちろん、今でも大志を持っている若者はいるが、その絶対数は昔に比べると大幅に減少している。

 そうなった最大の理由は、一人っ子が過半数になって家庭内で競争がなくなった上、偏差値教育によって学校のクラスの中でも競争がなくなったからである。つまり、偏差値を与えられると、あたかも自分の能力がその程度であるかのように思い込み、予定調和してしまうのだ。

 しかし、若者は「自分には才能があるはずだ。それはいつどこで開花するかわからない」と思って努力し続けなければならない。そうでないと目線が下がってアンテナの感度が悪くなり、目の前にチャンスが訪れていても、ものにできなくなる。

※週刊ポスト2015年5月22日号

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン