イケメンなルックスながら素顔は三枚目――個性的な演技で、今、映画やドラマなど話題作に引っ張りだこなのが俳優・安田顕(41才)だ。主演ではなくても、脇役としても放たれる独特の存在感に今、注目が集まっている。
最近の出演はとにかく話題作ばかりだ。北野武監督の最新作『龍三と七人の子分たち』では、詐欺集団のボスを演じきったかと思えば、話題の映画『ビリギャル』では、主人公を落ちこぼれ扱いする教師役として出演。ドラマ『問題のあるレストラン』(フジテレビ系)ではゲイのパティシエ役を好演した。
「作品のキャスティング段階で、必ずと言っていいほど彼の名前が出る」(映画関係者)
それだけ安田が求められる理由についてある映画ライターはこう評価する。
「わかりやすく言えば、硬軟演じわけられるところでしょうね。北野作品のようなめちゃくちゃ悪いヤツもできるし、ゲイの役だってできる、ふり幅の広さがある。それだけ幅広い役をやっているのに、それぞれに彼の色が出る。そんな役者はそうはいないでしょう」
2年前に公開された映画『HK 変態仮面』では、偽変態仮面として、半裸姿で走り回るなど、その“怪演”が話題を集めた。しかし、デビューからの彼の活動を知っている人からは、それほど意外な印象はなく、「ハマり役」との声が上がったほどだった。
もともと、北海道にいた大学時代の20代の頃、大泉洋、森崎博之らと演劇ユニット「TEAM NACS」を結成、役者の道へ進んだ。HTBのローカル番組『水曜どうでしょう』では、同局のマスコットキャラクター「onちゃん」の“中の人”として出演していたことは、北海道時代からのファンなら知る話。
「“水どう”では、onちゃんの格好で泥酔し、所属事務所社長(当時)の鈴井貴之の目の前で“この社長のとこじゃ食えない”とくだを巻いたこともありました。ファンの間では泥酔事件と呼ばれている(笑い)。牛乳早飲みで豪快にリバースしてしまったり、どちらかというと汚れキャラだった。すぐに服を脱ぐことから“ヌーディスト”、変態“という呼び名がついているほどです。
そうした以前の活動から考えると現在の彼は、三枚目キャラだけではなく、マジメな役も増えてきた、という感じでしょうか。ただ、どんな役を演じても、端正な見た目のその内側に、何かやらかすんじゃないかという、危なっかしさみたいなものを感じさせる。それが彼の演技に存在感を与えているんじゃないでしょうか」(前出・映画ライター)
『HK 変態仮面』で共演した鈴木亮平はかつて、安田についてブログで、「俳優として格の違いをまざまざと見せつけられた」と綴り、
「演技は、まさに狂気!もはや殺気!僕は初めて編集室で仕上がりを見たとき、本当に鳥肌が立った。<中略>『勝てない…この変態には…勝てない…』」と絶賛した。撮影中やその合間、徹底して役に入り込み、“変態”を演じきる安田の姿に感銘を受けたそうだ。
狂気で変態な安田の演技は、これからも注目を集めそうである。