アラ還世代が出演するフジテレビ系の昼ドラ『プラチナエイジ』を絶賛するファッションプロデューサー植松晃士さん。しかし、そこにも“埴輪妖怪”がいたと指摘する。その“埴輪妖怪”とは一体何なのか? 聞いてみました。
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埴輪妖怪の大きな特徴はハイネックの長袖Tシャツの上に半袖チュニックの重ね着。ボトムは当然、ズ・ボ・ン!
ゴルフの練習やスポーツジムに行くのならともかく、大人のデイリーウエアで、今さらあのレイヤード(重ね着のこと)はナシでしょう。
そんなわけで、埴輪妖怪撲滅運動に邁進する私は、ドラマの中でこのスタイルが何を意味するのか、考えてみました。
スタイリストさんは、お洋服でその役柄のキャラクターを表現するのがお仕事です。例えばホステス役なら、紫とか赤とか扇情的な色のお洋服に、ゴールドのアクセサリーをじゃらじゃらとつけているのがお約束。あるいは、ちょっと浮き世離れしたお嬢さま役ならば、フリルのブラウスにピンクのカーディガン、フレアースカート。
こんなふうに、私たちがひと目見て納得できる、「キャラクターを象徴する装い」があるものです。
ですから、スタイリストさんがこのドラマの中で、あえて登場人物に“埴輪の装い”をさせる真意を必死で探ってわかりました!
つまり、「埴輪=アラ還」は、世間様が考えているオフィシャルスタイル(制服)なんです。
裏を返せば、首のしわを隠すためにハイネックを着て、ウエストラインをごまかすためにチュニックを重ね、中途半端なシルエットのズボンをはいて安心する。
そして、これこそ「老いの気配」を身にまとうということに本人だけ、気づきません。たとえ35才だろうと45才だろうと、この格好をすることで、世間的な評価としては、十把一絡げに「おブスなアラ還の箱」に入れられてしまいます。恐ろしいことだとは思いませんか?
※女性セブン2015年5月28日