現在放送中のNHK連続テレビ小説『まれ』。大ブームとなった『あまちゃん』以来となる現代を舞台にした作品だが、実はこの2つの作品には共通点が多いのだ。
朝ドラの見どころのひとつとなるのがヒロインの恋の行方だが、ここにも共通点がある。主人公の希(まれ、土屋太鳳)が恋した幼なじみの圭太(山崎賢人)は、希の友達・蔵本一子(清水富美加)の彼氏になってしまう。これは『あまちゃん』のアキ(能年玲奈)が好きになった種市先輩(福士蒼汰)が、ユイ(橋本愛)とつきあい始めたのと同じパターンだ。『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版刊)著者の田幸和歌子さんが言う。
「あまちゃんでは最終的にアキと種市先輩がつきあうことになりました。希と圭太も結局はつきあえることになるんじゃないかなぁと予測しちゃいますよね」
一子の母親・はる(鈴木砂羽)が経営する美容院「サロン・はる」は近所のたまり場になっていて、なにかあればそこで雑談が始まる。“ご近所メンバー”は希の友人、寺岡みのり(門脇麦)の父母役のドランクドラゴン・塚地武雅、ふせえり、同じく希の友人の角洋一郎(高畑裕太)の父役のガッツ石松など、そうそうたるメンバーだ。
主人公を盛り立てる近所の大人たちの“ガヤガヤしさ”の妙な心地よさも、どこかで見た風景とそっくり。そう、『あまちゃん』では、北三陸駅の「軽食&喫茶リアス」に個性的な面々が集まって軽妙なトークが繰り広げられていたのだ。
輪島市役所に就職した希の最初の大仕事は、輪島市への移住希望者向けの体験ツアー企画。25話(4月27日放送)では、その企画が地元テレビに取り上げられるシーンがあった。アキも地元番組に出ていた。
「『あまちゃん』ではアキとユイが地元の情報番組から取材を受けるシーンがありました。見た瞬間に、“あのシーンだ!”と思い出しました」(田幸さん)
『まれ』に『あまちゃん』との共通点が多い理由について、田幸さんは「幅広い視聴者層に見てもらいたいから」と解説する。
「従来から朝ドラを見ている高い年齢層に加え、『あまちゃん』で獲得した若い視聴者にも見てほしいという思いがNHK側にはあるのではないでしょうか。だからこそ『あまちゃん』を意識した構成になっている。ですが、あまりにも共通点が多すぎると視聴者はなんとなく今後の展開が予測できてしまう。まだ先は長いので、“あまちゃん離れ”した希が見たいですね」
※女性セブン2015年5月28日号