中国で最も人気のある日本人女優は誰なのか。今回、本誌は中国情報サイト「レコードチャイナ」の協力で北京や上海など4都市で、50代以上の男性30人に街頭アンケートを行なった。
ベスト5には回答者と同世代のベテラン女優ばかりが並ぶ。いずれも、出演映画やドラマが中国でヒットした経緯がある。
1位の山口百恵(56)が中国で知られるようになったのは、1980年代初めに中国全土で放送されたドラマ「赤いシリーズ」がきっかけ。当時の中国は文化大革命が終わり、改革開放が始まったばかりの頃で、白黒テレビさえ普及していなかったという。60代男性が当時を振り返る。
「放送時間になると、近所の家まで出かけて赤いシリーズを見ていた。その時の山口百恵の印象が忘れられない」
本人が歌うドラマ主題歌は中国でも日本語のまま広く歌われ、主演映画「絶唱」や「霧の旗」などの映画も次々に上映された。
2位の田中裕子(60)は、1980年代に世界中でブームとなったNHKの朝ドラ「おしん」の主演女優。日本での放送は1983~84年だが、中国では翌1985年から吹き替え版が放送された。NHKによると、北京での視聴率は75.9%を記録したという。
「おしんを見て、日本民族の勤勉さを理解した」(70代・元教師)
「振り返れば、おしんの放送当時が中日友好回復40年のピークだった」(70代・元公務員)
映画「君よ憤怒の河を渉れ」で高倉健と共演した中野良子(64)は4位にランクイン。
「文化大革命が終わって初めて見た映画に彼女が出演していた」(70代・元公務員)
「恋愛とはこんな形(高倉健と中野良子のカップル)が理想だった。好きになったら『好き』と言葉にするのは、中国ではありえないことだった」(60代・元教師)
※SAPIO2015年6月号