東京商工リサーチが公表した「2014年全国女性社長調査」は、日本全国269万人に及ぶ社長の出身地や出身校を抽出・集計したビッグデータを女性社長に特化してまとめたものだ。出身大学で最も多かったのが日本大学(272人)、2位は東京女子医科大学(232人)、 差で3位に慶応義塾大学(228人)、4位は早稲田大学(200人)、5位の青山学院大学(187人)と続く。
出身大学ランキングの上位30位までに目をやると日本女子大学(6位)、共立女子大学(8位)といった女子大9校がランクインしている。しかし、難関女子大の「双璧」とされるお茶の水女子大学、津田塾大学が意外にも圏外だった。『時間と学費をムダにしない大学選び』(中央公論新社)の著者で大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が解説する。
「この名門2校は大企業に入社する学生が多く、社長まで行き着く女性が少ないため、社長輩出ランキングでは影が薄くなります」
一方でランキング上位に位置する女子大の学生は「家庭志向」が強いと指摘する。
「彼女たちは一般企業に就職しても、結婚後に退社して家庭に入る傾向がある。夫の実家や自分の実家が中小企業を経営しているケースがあり、経営者になることが多い。“家庭志向の女子大生”は意外と社長になりやすいのです」(同前)
出身大学別では4年前に圏外だった東京大学が13位にランクインした。
「もともと東大など国立大学は卒業後に官僚や研究職に進む学生が多い。しかし最近は国立大出身のベンチャー経営者が増えています。この流れが女性にも及んだのでしょう」(石渡氏)
「社長数」の「早慶戦」は男女合計では早稲田(2位、1万753人)が慶応(3位、1万587人)をわずかに上回ったが、女性社長の数では慶応が逆転した。
注目すべきは上智大学だ。男女合わせてのランキングではトップ20圏外だったが、女性社長では9位(106名)とトップ10入りを果たした。
「上智大は男子学生5300人、女子学生6700人と女性のほうが多い。語学教育に熱心で国際色豊かな人材が揃う。独立心が旺盛な人が多いことも女性リーダーを輩出する理由でしょう」(石渡氏)
※週刊ポスト2015年5月29日号