またも韓国の朴槿恵・大統領の反日攻勢だ。5月4日にユネスコの諮問機関・イコモスから世界文化遺産への登録に相応しいと勧告された「明治日本の産業革命遺産」について、韓国政府が登録反対を表明した。
理由は対象となる八幡製鉄所などで朝鮮半島出身者の強制労働があったからという。尹炳世・外相は「歴史的事実を無視している」と語った。さらに12日には韓国国会が糾弾・非難決議を採択した。
しかし、ジャーナリスト・前川惠司氏は「韓国国内における文化財や史跡の扱いをみていると、世界遺産を語る資格があるのか疑問に感じます」という。
韓国での文化財の扱いは先進国には程遠い。李氏朝鮮時代の城塞である「華城」は1997年に世界遺産に登録されたが、2006年に酒に酔った男性が放火して一部が焼失。警備や文化財保護の意識が高まるのかと思いきや、翌年には失業中の男性が城壁の一部をハンマーで叩き壊す事件も起きた。
「李氏朝鮮時代の宮殿『昌徳宮』は1997年に世界遺産となりましたが、登録される前の1980年代に訪れた時は、庭園がほとんど手入れされず草が伸び放題の状況でした。貴重な史跡をもっと大切にすればいいのにと感じたものです」(同前)
世界遺産について真剣に議論する気などなく、反日をアピールしたいだけなのだろう。産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏は、朴氏に本気で登録を阻止する気はないとみる。
「韓国内でも外交的孤立や経済の行き詰まりを感じ、反日外交ばかりの朴政権に懐疑的な層が増えています。それはわかっていても何もしないと極端な反日を唱える層から批判されるので、登録反対のポーズを示した、というところではないでしょうか」
朴大統領が良識的な国民の声に耳を傾け、大人の国同士の関係が築ける日は来るのだろうか。
※週刊ポスト2015年5月29日号