1995年、野茂英雄がアメリカ・MLBで鮮烈デビューを飾ってから今年で20年。日本人MLB選手による記憶に残る名シーン(投手編)を振り返ってみよう。
●野茂英雄「2度のノーヒットノーラン」
(1996年9月17日・ドジャース在籍のロッキーズ戦=クアーズフィールド、2001年4月4日・レッドソックス在籍のオリオールズ戦=キャマデンヤーズ)
両リーグでのノーヒッターは史上4人目(当時。現在は5人達成)。1度目は海抜1600メートルの「最も打球が飛ぶ球場」、しかも雨で試合開始が2時間遅れという悪条件。2度目も球場の電気系統故障で43分遅れの開始だった。この男は逆境に強い。
●伊良部秀輝「和製ノーラン・ライアンの鮮烈デビュー」
(1997年7月10日・ヤンキース在籍のタイガース戦=ヤンキースタジアム)
ニューヨークは「和製ライアン」に大フィーバー。デビュー試合には約5万6000人が詰めかけた。伊良部は大歓声に臆することなく剛速球、フォーク、スライダーを巧みに投げ分け6回3分の2を2失点・9三振で初登板初勝利を飾った。
●斎藤隆「マイナー契約から胴上げ投手へ」
(2006年9月30日・ドジャース在籍のジャイアンツ戦=AT&Tパーク)
マイナー契約で開幕はトリプルAスタート。しかしストッパー、エリック・ガニエの故障などでメジャー昇格、クローザーに抜擢される。ポストシーズン進出を決める161試合目もマウンドを託され、リードを守った。この年24セーブ。
●ダルビッシュ有「完全試合まであと1人」
(2013年4月3日・レンジャーズ在籍のアストロズ戦=ミニッツメイド・パーク)
この日は速球、変化球ともに絶好調で自己最多の奪三振14。しかし9回2死、ア軍の9番打者の打球は無情にもダルビッシュの脚の間を抜けた。歓喜の瞬間はならなかったが、マウンドを降りる姿に、球場はスタンディングオベーションに包まれた。
●上原浩治「ワールドシリーズ胴上げ投手」
(2013年10月31日・レッドソックス在籍のカージナルス戦=フェンウェイ・パークでのワールドシリーズ第6戦)
ポストシーズンでは痺れる場面で何度も完璧な救援を見せてきた上原。この日も9回を三者凡退に抑え日本人初のワールドシリーズ胴上げ投手に。伝家の宝刀・スプリットが冴えに冴えた。前日は抜群の一塁牽制でピンチを切り抜けている。
※週刊ポスト2015年5月29日号