38歳で米大リーグに挑戦した桑田真澄氏は、選手としてプレーすることだけでなく、アメリカの野球を直接見て、その後の人生に役立てることを目的にしていた。パワーとスピードだけでなくトップ選手は細かい技術も日本以上だと実感したメジャーとの違いから、日本の野球の良さと弊害を知る桑田氏が、世界で通用する内野手を育てるために必要なことを分析した。
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メジャーで日本人内野手の成功例がほとんどないのは「日本的教育」が大きいかもしれません。もともと肩の強さはメジャー選手に劣っているうえ、「逆シングル捕球の拙さ」が目立ちます。「必ず打球の正面に入って両手で捕れ」と指導されてきたせいです。俊足揃いのメジャーでは逆シングルで捕らないと間に合わない。世界で通用する内野手を育てるため、子供の頃から練習すべきでしょう。
イチロー君や松井秀喜君をはじめとした一流選手がメジャーに挑戦したことは、国内で活躍する日本人選手に新たなモチベーションを与えました。これは日本球界全体に大きなプラスになったと思います。
また、日本野球はメジャーとの融合で進化しました。野球の技術だけでなく、ファンサービスや球場のエンターテインメント性など、球団もビジネス面で貪欲に吸収している。野茂英雄君がメジャーに挑戦していなければ、日本の野球は今より衰退していたでしょう。
野茂(英雄)君の挑戦からの20年間に生まれた野球とベースボールの“化学反応”は、日米両国のスタイルを大きく進化させました。次の20年は日本のアマチュア野球の長所を残しつつ、猛練習や「誤解された基本プレー」などの課題をメジャーを参考にしながら解決できたらよいと思っています。
■くわた・ますみ/大阪府出身・47歳。PL学園から読売巨人軍に入団。2007年にピッツバーグ・パイレーツへ移籍。2008年に現役引退後、早大院卒。現在は野球解説者。
※週刊ポスト2015年5月29日号