野茂英雄が鮮烈なMLBデビューを飾ってから今年で20年。以後、投手だけでなく野手も続々と海を渡るようになったが、記憶に残る名シーン(野手編)を振り返ってみよう。
●イチロー「オールスター史上初のランニングHR」
(2007年7月10日・マリナーズ在籍のオールスターゲーム=AT&Tパーク)
78回の歴史で初、イチローにとっても「生まれて初めて」の経験だった。右中間に伸びた打球を憧れのケン・グリフィーJr.が追う。しかし、フェンスに跳ね返ったボールは逆方向に転がり、イチローは一気に本塁へ。この快挙でMVPに輝いた。
●松井秀喜「ワールドシリーズMVP」
(2009年11月4日・ヤンキース在籍のフィリーズ戦=ヤンキースタジアムでのワールドシリーズ第6戦)
第2打席でペドロ・マルティネスからシリーズ3本目となる先制2ラン、その後も2本のタイムリーで1試合6打点のシリーズタイ記録をマーク。前日に取材した際は「目の前の試合に集中するだけ」と話していた。不動心が支えた快挙だった。
●新庄剛志「DL覚悟のカミカゼ・スプリント」
(2001年6月17日・メッツ在籍のヤンキース戦=シェイスタジアム)
サブウェイシリーズ屈指の名試合。8回裏1死一、三塁、遊ゴロを放った新庄は左太もも裏を痛めていたが激走、スライディング。併殺を崩し次打者ピアッツァの逆転2ランと勝利を呼び込んだ。日本よりニューヨークで語り草の伝説的プレー。
●井口資仁「世界一への流れを呼んだ逆転3ラン」
(2005年10月5日・ホワイトソックス在籍のレッドソックス戦=USセルラー・フィールドでの地区シリーズ第2戦)
「スマートベースボール」を標榜したオジー・ギーエン監督が「チームのMVP」と信頼を寄せていた2番セカンドの井口。下馬評では不利とされたレッドソックスとの地区シリーズのスイープを決定づけたのが第2戦、5回の逆転3ランだ。
●田口壮「リーグ優勝を手繰り寄せる決勝ホーマー」
(2006年10月13日・カージナルス在籍のメッツ戦=シティ・フィールドでのリーグ優勝決定シリーズ第2戦)
トニー・ラルーサ監督(当時)をして「野球を深く理解している」と評された田口。スーパーサブとしてチームを支えたが、この日は主役に。同点の9回表、ビリー・ワグナーの98マイルの剛速球を左翼席に叩き込む大殊勲となった。
※週刊ポスト2015年5月29日号