知的なキャリア女性から上品で意地悪な姑役、明るくさわやかなCMまで、コミカルな役もシリアスな役も多彩にこなす女優・野際陽子さん(79才)。プライベートが気になるが、この春買い求めたという、若草色のセーターとロングスカートでにこやかに現れた彼女は、意外にも、こんな言葉で老いと闘う日々を語り始めた。
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「私の柔軟戦争」と名をつけて、老いに抗う一念発起の体操を始めたのが70才になる頃。数年間真面目にやっていたら、スルメのように固まっていた筋も徐々に伸び、ふにゃふにゃだった筋肉はいくらか硬くなるなど変化が出てきました。
でも、ちょうどその頃、愛犬にかわいい子犬が生まれて、今は犬の世話に忙しいとか言い訳をして、体操はしばしお休みに。そうして気がつくと、加速度的に老いは進行していたんですよね。筋肉は衰えるし、姿勢は悪くなるし。それで、ときどきはっと気がついて、あ、いけない、背筋を伸ばさなきゃって…。
同じ頃、ガラケーからスマホに変えたのですが、スマホに歩数計がついて、何の気なしに見たら1日でたったの67歩しか歩いてなかったんですよ(笑い)!!
こりゃ、いかん!と思って本気で体操することにしたんです。ついでに好きな絵を描いたり、文章も書いたり、恥もかいたり。まさに、やけっぱちで70代後半、後期高齢者の仲間入りをしました。
ところが、今や80才目前。年は誰もが自然に取りますが、たぶん私は往生際が悪くて、ババくさくなるのは嫌だと、どこかで思っているんでしょうね。だから体や頭を使ったり、顔は自己流のしわ予防をしたりして、ちょっと抵抗しているんです。
もともと私は、先のことなど何も考えないで生きてきたんです(笑い)。仕事は嫌いじゃないから続けてきただけで、とくに頑張ってきたわけでもないんですよ。
40代の頃の私は「生活女優」だったんです。生活のためにどんな仕事でもお引き受けしよう、いただいた仕事は断らない、と自分に言い聞かせていました。それでも仕事の間が空いて、「今後の生活は大丈夫かな」と思うこともあったんですが、そういう時にまた違うタイプの仕事をいただいて。運がいいんです。
でも、今だって来年のことはわからない、パタッと仕事がなくなるかもしれない、という思いはあります。
※女性セブン2015年6月4日号