5月18日の会見で、「ソチ五輪のシーズンが終わった後はスケートを辞める気持ちが強かったが、時が経つにつれ自然と試合が恋しくなった」と語った浅田真央(24)。
浅田はなぜこのタイミングで復帰を発表したのか。それには、スケート連盟の「大人の事情」が影響している。
日本のフィギュア男子は絶対的エース・羽生結弦(20)のほか、宇野昌磨(17)など新たなスター候補が続々と現われているが、女子には世界トップを争う「ポスト真央」がいない。
そんな中、文部科学省が五輪でメダル獲得が有望な競技を重点支援するマルチサポート事業のランク分けを発表。
男子が「A」ランク(金メダルを含む複数のメダル獲得が期待される競技)なのに対し、女子はそれまでの「A」から最低の「C」(メダル獲得の可能性がある競技)に格下げとなった。
ランクの低下は栄養面、医学面などで行なわれていた選手への支援の規模縮小を意味する。国から“女子はもう勝つのは難しいだろう”といわれているようなもので、連盟にとっては大きな屈辱だった。
「女子フィギュア復活のためにも、連盟は関係者を通じて浅田に復帰するよう説得を続けていました。
6月には国際スケート連盟から来シーズンのGPシリーズ出場選手の発表があるため、連盟は5月中に国際スケート連盟に選手リストを提出しなければならない。
過去の実績で出場資格がある浅田がリストに加わるためには、タイムリミットが迫っていた。この時期に浅田が決断したのにはそうした背景があったのです」(フィギュア関係者)
※週刊ポスト2015年6月5日号