夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、デパート勤務のご主人(56歳)。奥様(52歳)は、松岡修造さんの大ファンです。
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妻は昔から人に影響を受けやすく、最近は「私の人生の師は松岡修造よ!」と、ネットに流布する修造語録を僕に対して連発します。
たとえば金曜の夜、「やっと休めるぞ」という気持ちになっているのに「もう寝るの? まだ22時よ。ゲームやりましょ」。妻は昔からテレビゲーム好きで、これが長いんです。「ごめん、疲れてるんだ。寝かせてくれよ」というと、「一生懸命生きていれば、不思議なことに疲れない!」。出た!修造語録!「いや、疲れてるから……」「本気になれば自分が変わる! 本気になれば全てが変わる」。聞く耳を持ってくれません。
ただ、使い方が間違っていることも。僕が社内でお気に入りのOLを飲みに誘ったのに断わられてしまい、しかもメールのやりとりを妻に見られてしまいました。「……ごめん、僕が悪かったよ」と謝ると「勝ち負けなんか、ちっぽけなこと。大事なのは本気だったかどうかよ!」って、おいおい、本気になっていいのかよ!
「わかった! 代わりに私が家族を引っ張るわ! やるからには、富士山のように日本一になる!」。いやいや、オレや息子がお前に求めてるのは「富士山」じゃなくて、普通の「奥さん、お母さん」なんだけど!
※週刊ポスト2015年6月5日号