今年3月、国立がん研究センターはがんの罹患状況を地域別に初めて公表。分析した同センターの担当者は「日本はアメリカなどの他民族国家ほど地域性や人種の違いはないはずなのに、思った以上に地域差が見られた」と語る。さらにがんの種類によっても地域差があるという。
胃がんは男女とも日本海側や瀬戸内海沿岸に多いが、エリアごとに異なるリスク要因が考えられる。例えば、全国比1.1倍以上の秋田、山形、新潟、福井、石川は胃がんのリスクを高める食塩摂取量の多い地域でもある。
それらの地域で伝統的な、塩分の多い食生活が胃がん発症に影響していると推測される。
同じく全国比1.1倍以上の山陰や瀬戸内海沿岸の県は食塩摂取がそれほど多くない。食塩以外のリスクを検討する必要がある。胃がんリスクを高める要因としては他にピロリ菌感染が有力だが、ピロリ菌感染者に地域差があるかどうかは不明という。
※SAPIO2015年6月号