今月14日、タレントの三船美佳が、夫で歌手の高橋ジョージに離婚及び一人娘の親権を求めた訴訟の弁論準備手続きが、東京家裁で行なわれた。仮に親権を失っても、子供にまったく会えなくなるわけではないが、頻繁に会いたいのに元妻が条件を付けてくるような場合、どうしたら良いのか? 弁護士の竹下正己氏が、こうした相談に対し回答する。
【相談】
2年前に協議離婚。7歳になる娘の親権は妻が持つことになり、月に1回会える約束を交わしました。しかし、会えるのは3か月に1回で、娘も頻繁に会いたいとせがみます。そこで元妻に月に2回の面会を求めたところ、条件として養育費の増額を要求してきました。この場合、どう対処したらよいですか。
【回答】
離婚後、親権のない親が子供と会う権利を「面接交渉権」といいますが、面接交渉は本来、子供が親から愛情を持って躾を受けるためにも必要なことであり、面接交渉を求める権利は、より正確には「子供の監護のために適正な措置を求める権利」というべきです。元妻が養育費の見返りに認めるといえるような性格のものでは決してありません。
ところで、離婚した夫婦の子供の監護については、民法第766条3項で「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は……その他監護について相当な処分を命ずることができる」と定めています。
つまり、「子の利益のために必要がある」場合には、家庭裁判所が、子供との面接交渉を認めたり、あるいは面接交渉を制限したりすることを「相当な処分」として命令できます。ご相談では、月1回の面会約束は協議離婚時の約束ですし、娘さんがもっと多くの面会を求めているということであるならば、家庭裁判所に面接交渉を求める調停を申し立てるのがよいと思います。
家庭裁判所では、調査官が実態を調査し、子供の希望や面接交渉の効果影響を評価しますから、適切な助言を受けることが期待できます。また、調停委員が間に入って元妻との調整を図ってくれます。そして、調停で面会の日時、または頻度、各回の面会時間の長さ、子供の引き渡しの方法等が具体的に定められた時は、元妻が従わなかった場合、間接強制という方法で面会を実現できます。
ともあれ、子供の福祉が一番重要です。権利であるという前に、子供の利益や立場を中心に考える姿勢で臨む必要があります。なお、元妻は養育費の増額を要求しているので、調停ではその点も別途話題になるでしょう。
【弁護士プロフィール】
◆竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2015年6月5日号