今年3月、国立がん研究センターはがんの罹患状況を地域別に初めて公表。分析した同センターの担当者は「日本はアメリカなどの他民族国家ほど地域性や人種の違いはないはずなのに、思った以上に地域差が見られた」と語る。さらにがんの種類によっても地域差があるという。
最も地域差が顕著なのは肝がんだ。男女とも山梨県と近畿以西の西日本で全国比1.2倍以上という多さだった。それらは、肝がんのリスクを高める肝炎ウイルスの感染者が多い地域と重なるという。
「肝炎ウイルスの感染ルートとしては過去における注射針の使い回しや薬害肝炎などが考えられます。
また、山梨県はかつて、肝臓の門脈(血管)に寄生する住血吸虫による地方病が流行した歴史がある。肝がん患者が多いとわかった地域では、まず肝炎ウイルスに感染していないかどうかを検査し、もし感染していたら、進行を抑える治療を始めるなどが必要です」(国立がん研究センター・がん統計研究部「地域がん登録室」・松田智大室長)
※SAPIO2015年6月号