50代で電流爆破である──。棚橋弘至らイケメンプロレスラーの登場で「プロレス女子」と呼ばれる若い女性ファンが急増するなど、プロレスブームが再燃している。その一方で、長州力(63)や藤波辰爾(61)など昭和のスーパースターたちが、変わらぬ闘志と技で今なおリングに立ち続けている。
「千種! 千種!」──大歓声に包まれながらリングに登場したのは、長与千種(50)。まるで女子プロレスが大ブームとなった1980年代にタイムスリップしたかのようなこの光景は、5月23日に東京・大田区総合体育館で行なわれた『ノーロープ有刺鉄線電流爆破~爆破バット&電気イス四面楚歌地獄デスマッチ』。こちらもまだ現役続行中の大仁田厚(57)と男女混合タッグを組む長与が、因縁のライバル・ダンプ松本(54)とTARU(50)のコンビに挑んだこの試合は、期待どおりの血みどろの闘いとなった。
観客からひと際大きな歓声が飛んだのは、やはりクラッシュギャルズ・長与と極悪同盟・ダンプ松本の直接対決。観客席には40~50代の女性の姿が目立つ。デビュー時から長与を追いかけているという50代の女性は、複雑な心境を打ち明ける。
「これからも試合を続けてほしいと思う半面、年齢も年齢ですから怪我が心配で……。でもリングでの姿を見ると昔のように夢中で応援しちゃいます」
ダンプ松本ファンの40代女性はこう話す。
「昔はクラッシュギャルズのファンとは敵対していて一切口もきかなかったけど、最近は昭和のプロレスを応援する仲間として連絡を取り合って、一緒に観戦するようになりました」
観ている者に勇気を与えるその力はまったく衰えていない。
撮影■西岡浩記
※週刊ポスト2015年6月12日号