【マンガ紹介】『ラーメン食いてぇ!』(上・下)/林明輝/講談社/691円
この一杯の中に宇宙がある!と褒めたたえられたり、修業の様子がテレビで特集されたり、人を熱くするラーメン。その理由を、今ひとつわかっておりませんでした。このマンガを読むまでは!
親友の裏切りから発生したいじめを苦に自殺を図った女子高生・茉莉絵。彼女の心を救ったのは、祖父が作ったラーメンのスープ。〈おじいちゃん あたしにラーメン教えて!!〉。本気で教える祖父(妻を亡くし老舗店を畳もうと決めたばかり)、本気で教わる孫。けれど、茉莉絵の食の細さは料理人として致命的…。
常に「自分が食べたい」という思いで作っていた〈とんでもない食いしん坊〉の祖母のような相棒が彼女にも必要だ…。その相棒こそ、自殺未遂の原因となった親友・コジマです(やはり食いしん坊)。憎い相手を許してでも日本一のラーメンを作りたいと願う茉莉絵。心から裏切りを後悔し、それに応えるコジマ。若いふたりの覚悟と友情に胸が熱くなります(というか泣いた)。
ウイグルで遭難した料理研究家・赤星がこの店のラーメン食べたさに生還するなど極端な設定もありますが、文字通りラーメンに人生をかける登場人物たちの姿には説得力があって、全てが腑に落ちます。祖父が語るうんちくも、すーっと入ってくる! クライマックスでコジマと赤星が〈ぞっぞぞ~~っ〉とラーメンをすするシーンを見たら(大変凡庸で恐縮ですが)この言葉で締めるしかありません。ラーメン食いてぇ!(ナイスタイトル!!)
(文/門倉紫麻)
※女性セブン2015年6月18日号