5月25日の夜、閉館後の国立新美術館(東京・六本木)に皇太子夫妻の姿があった。開催中の「ルーヴル美術館展」を鑑賞する「公務」である。この日の雅子妃は終始にこやかな笑顔で、日本初公開となるフェルメールの『天文学者』などに見入った。雅子妃の皇居外での公務は1月に東京・広尾の山種美術館で東山魁夷の特別展を鑑賞して以来、約4か月ぶりだった。
体調回復の兆しと考えれば喜ばしいことでもあるが、ポジティブに捉えている宮内庁関係者は多くない。
「雅子様が美術館にいらっしゃることは、当日に急遽決まりました。つまり、それだけ体調の波が激しいということ。その日も閉館後で国民の視線に晒されない形でのご公務だったからお務めできたのでしょう。まだ本格的な公務復帰への道のりは長いと思われます」
むしろ気がかりなのは、本来は5月中に行なわれるはずの重大な公務の日程が5月28日になっても明らかにされなかったことだ。
天皇・皇后が担ってきた「こどもの日」「敬老の日」の施設訪問が今年から、東宮家と秋篠宮家に引き継がれることになった。今年の分担は皇太子が「こどもの日」、秋篠宮が「敬老の日」とされた。宮内庁担当記者が声を潜める。
「分担は宮内庁が両家と相談して決めたのですが、記者会が東宮大夫に何度尋ねても、なかなか日程が発表されない。天皇・皇后両陛下時代に『こどもの日』の公務が6月になったのは2度しかありません(1992年と2012年)から、異例といっていい事態です。
さすがに6月にはどこかに訪問されるとは思いますが、引き継ぎ1年目の大事な年に、そんなことになるなんて……。“一体どうなっているんだ”“雅子様の体調はそこまで良くないのか”と記者の間で憶測が広がっています」
本誌は5月18日発売号で、この「なかなか決まらない皇太子夫妻の公務」をレポートしたが、それから2週間近く日取りが発表されないとは予想しなかった。
「ご体調がままならないことは仕方ありませんが、もしご夫妻がそろって『こどもの日』の公務に出席されなければ、両陛下の悲しみはいかばかりか……。ぜひ一刻も早い実現を願うばかりです」(前出・宮内庁関係者)
※週刊ポスト2015年6月12日号