「亡くなる3日前にね、看護師さんが朝の検診で、“里谷正子さん”と声をかけると、“はい、里谷、28才です!”って。看護師さんが思わず笑ってね。漫才師やね。感動しました。それが最後の会話でした」
5月28日に胃がんのため亡くなった漫才コンビ「今いくよ・くるよ」の今いくよさん(本名・里谷正子。享年67)。翌29日に京都市内で営まれた通夜で、相方・今くるよ(67才)は長年コンビを組んできた相方をこう悼んだ。
通夜には桂文枝(71才)や宮川花子(59才)など生前親交のあった著名人ら100人が参列し、みな沈痛の表情でいくよさんの亡骸に対面した。
彼女に胃がんが見つかったのは、昨年9月のこと。手術はせずに抗がん剤治療を選び、3か月の休養後、12月には舞台に復帰した。
その後も治療を続けながら仕事をこなしていたが、5月11日、大阪・なんばグランド花月の公演の後、体調を崩して入院。これが最後の舞台となった。
1973年のデビュー以来、女性漫才師の先駆けとして活躍してきた『今いくよ・くるよ』。2人は同じ高校のソフトボール部に所属する同級生。高校卒業後はそれぞれOL生活を送っていたが、1970年に揃って会社を辞め、今喜多代(享年85)に弟子入り。コンビを結成した。
苦節10年、バラエティー番組『花王名人劇場』(フジテレビ系)の出演を機にブレーク。以後、売れっ子女性漫才師の道を爆進した。
「その後も結婚もせず、ふたりは近所のマンションで暮らしていた。“相方が配偶者なんや”なんて言って笑っとったよ」(前出・漫才関係者)
2009年、くるよが心筋梗塞で倒れた時には、いくよさんが彼女を献身的に支えた。
「入院中は毎日お見舞いしていたし、退院後も毎日くるよさんの自宅に通って、料理を作って、身の回りの世話をしていました。くるよさんのために、中性脂肪やコレステロールがたまりにくいメニューを一生懸命勉強したそうです。くるよさんは“こんな相方もってホンマに幸せや”って、話していました」(前出・芸能関係者)
そして昨年9月、いくよさんに胃がんが発覚すると、今度は立場が逆になった。いくよさんが抗がん剤治療のために入院すると、くるよは毎日お見舞いに行き、退院後は彼女の自宅に通って生活の面倒を見ていたという。通夜の席で今後の活動について聞かれたくるよは、
「しばらくは考えられへん。歌手や女優になることを決めたら、皆さんにお知らせしますわ」
と、気丈にも報道陣を笑わせたが、いったん公の場を離れると、憔悴しきった様子が隠せずにいる。
「“いくよちゃんあっての私やから、もう仕事なんかできへん”って泣いてばかりで、食事も満足にとっていないんです…」(くるよの知人)
※女性セブン2015年6月18日号